非居住者への支払の際の源泉所得税について

 国際税務が一部の大企業にしか関係しなかったのはもう昔の話であり、今は、中小企業を含めた日本企業の多くが国際取引を行い、国際税務が関係している世の中になっています。
 日本の税制において海外との国際取引についての支払では源泉徴収義務が生ずる場合があります。今回は、外国法人・非居住者に対する国際源泉課税の取扱いについてまとめてみました。
 
1.国際間の課税関係を考えるにあたって
 国際取引により発生する課税関係を考えるにあたっては、まずは支払側の国内法(日本においては「所得税法」)における取扱いを確認することが必要です。
 国内法の確認後、次に、取引先の所在する国と締結されている租税条約の確認を行い、最終的な課税関係を決定することになります。
 国内法と租税条約の規定が異なる場合は、租税条約の規定が優先的に適用されることになります。
 
 例えば、日本(支払側)とイギリス(受取側)との間で取引を行った場合には、1番目に日本の所得税法の確認、2番目にイギリスとの租税条約(日英租税条約)の確認という手順になります。
 
2.国内法での取扱い
 非居住者や外国法人は、全世界でのすべての所得について日本での納税義務を負うのではなく、日本国内で発生した所得として定められた「国内源泉所得」についてのみ、日本の所得税の納税義務を負います。
 非居住者や外国法人に対する日本の所得税の課税対象及び源泉税率は、所得税基本通達164-1(非居住者に対する課税関係の概要)に要約されています。
 
3.租税条約での取扱い
 租税条約は、二国間で経済や人的交流の活性化を図り、併せて二重課税を排除し、双方の当事国の税務紛争の解決方法を定めることなどを目的として締結されており、国内源泉所得について、租税条約に異なる定めがある場合には租税条約の定めをもって読み替えることとされています。(国内源泉所得の範囲そのものを読み替えるものではありません。)
 相手国との間に租税条約が締結されていることが確認できれば、支払日の前日までに租税条約の届出書等を税務署へ提出することにより、課税が免除又は軽減され、その特典を受けることができます。
 このように国際源泉課税はその検討に二本柱(国内法と租税条約)を用います。つまり、まず国内法で課税の範囲を押さえておいて、その後に租税条約により課税範囲の修正(課税の軽減・免除)を行います。やるべきことはシンプルかもしれませんが、源泉徴収義務者(支払者)からみれば、関係する法令は幅広く、また、法律を深く読み込む必要があります。そして、源泉徴収すべき所得の支払を誤って未徴収としたときは、一般にその支払額が多額であることから源泉徴収漏れの金額も多額となるなど源泉徴収義務者の負担も大きくなります。国外取引でお困りのことがございましたら、お気軽にコンパッソ税理士法人までご相談下さい。
 
【出典】
国税庁HP
 
                                               渋谷事務所 今山 優太

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