非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度

 平成26年2月、OECD(経済協力開発機構)において、非居住者が金融機関に開設した口座等の情報を加盟する各国の税務当局間で自動的に交換するための国際基準である共通報告基準(CRS; Common Reporting Standard)が公表され、日本を含む各国がその実施を約束しました。

 この基準は、外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、G20財務大臣・中央銀行総会会議からの要請に対応して作成されたものです。

 日本国内においては、CRSに対応するため、平成27年税制改正により、平成29年1月1日以後、個人・法人・組合等が新たに金融機関等に口座の開設を行う場合、金融機関等へ居住地国名等の下記概要に記載している届出書の提出が必要となっています。

届出書の提出が必要となる場合の概要
・平成29年1月1日以降、新たに金融機関等へ口座開設をする場合
金融機関等へ氏名・住所(名称・所在地)、居住地の国名、外国の納税者番号等を記載した届出書(新規届出書)
・平成28年12月31日以前に既に日本の金融機関等へ口座開設をしている場合
既に口座開設をしている場合、金融機関から、氏名・住所(名称・所在地)、居住地の国名、外国の納税者番号等を記載した届出書(任意届出書)
※ 上記の届出書の提出後、居住地国に異動があった場合には、届出書(異動届出書)の提出が必要となります。

 国内に所在する金融機関等は、平成30年以後、毎年4月30日までに、上記届出書等に基づいた特定の非居住者の金融口座情報を所轄の税務署長に報告し、報告された金融口座情報は、租税条約等の情報交換規定に基づいて各国の税務当局と自動的に交換されることとなります。この制度の導入によって、税務当局による海外の金融資産情報の把握は、以前と比較して相当進むものと考えられます。

 この制度に参加または参加を予定している国及び地域は現在140を超えており、平成29年にはフランスやドイツなど49の国及び地域で既に情報の交換が始まっています。この中にはタックス・ヘイブンであるケイマン諸島やイギリス領バージン諸島なども含まれています。ちなみに日本は今年の4月30日までに税務当局への初回報告が実施され、9月末までに各国との初回の情報交換を行う予定となっています。

 国外の金融資産については、そこから得られる利子や運用益等は、個人であれば原則確定申告が必要となる他、相続財産としても認知しておく必要があり、もし申告漏れがあった場合には加算税や延滞税が課されることになります(海外で納めた相続に関する税金は日本で税額控除できる制度があります)。

 今後CRSの対応が進むにつれ、国外の金融資産にまつわる税務調査が増えるものと推測されます。国外の金融資産を含めた資産形成に関する税務に関する不明点、疑問点等がございましたら、お気軽にコンパッソ税理士法人までご相談下さい。

参照:国税庁ホームページ
共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換に関する情報(「CRSコーナー」)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/index.htm

口座開設等を行う方へ(平成29年3月)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/pdf/kouzakaisetsu.pdf

非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の導入について(平成28年7月)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kokusai/crs/pdf/02.pdf

CRSの状況
https://www.oecd.org/tax/transparency/AEOI-commitments.pdf

千葉流山事務所 佐藤 智成

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