震災復興プロジェクトのご報告

 この度の東日本大震災において被災された皆様にはここからお悔やみを申しあげます。一日も早い復興を心よりお祈り申しあげます。

 コンパッソ税理士法人では、「震災復興プロジェクト」として5月16日~18日の3日間で各拠点においてセミナーを開催いたしました。多数の皆様に参加していただき熱心にお話しを聞いて頂きました。その中のごく一部ですが、税制対応の部分をご紹介したいと思います。

1.義援金等の税務上の取り扱い

(1)個人の方―所得税―

1)義援金を寄附した場合
 震災関連寄附金:最終的に国又は地方公共団体へ対する寄附金及び大震災に関連する指定寄付金
                 寄附金控除の対象 所得金額の80%を上限(その他の寄附金も含む) 

 特定震災指定寄附金:認定NPO法人又は共同募金会連合会に対する寄附金
           税額控除の対象 所得金額の40%・所得税額の25%を上限

2)手続き
 寄附したことが確認出来る書類を確定申告書に添付、又は提示する。

(2)法人の方―法人税―

1)義援金を寄附した場合
 『国等に対する寄附金』又は『指定寄付金』に該当する場合  →支出額の全額が損金算入される

2)手続き
 別表14(二)作成を作成の上、寄附したことが確認出来る書類を保存する。

(3)個別事例

1)募金団体を通じた義援金
 最終的に国・地方公共団体に拠出されるものが対象となる。受領書・預り証を発行し、税務署の確認を受ける。

2)得意先に対する災害見舞金(法人)
 交際費に該当せず損金に算入される。

3)自社製品を被災者に提供(法人)
 交際費には該当せず、広告費に準じて損金に算入される。

4)自社の従業員等への災害見舞金(法人)
 原則として、慶弔規定等に基づく支給は福利厚生費となる。例外的に、災害の著しい場合は相当額を上積みして支給することができる。

5)同業者団体の負担金
 原則として損金算入することは出来ないが、相互扶助規約に基づき賦課された分担金については損金に算入することができる。

6)印紙税
 義援金の受領証・預り証に対しては印紙税の課税はない。

2.復興支援税制―法人編―

(1)申告・納付等の期限延長

1)地域指定による延長
 青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県に所在する法人は、平成23年3月11日以降に到来する申告・納付等の期限は自動的に延長されている。
2)個別の申請による延長
 『災害による申告、納付等の期限延長申請書』 →災害がやんだ日から2ヶ月以内の範囲で延長

(2)震災損失の繰戻しによる法人税額の還付(法人税)
 震災欠損事業年度の欠損金額のうち、震災損失金額に達するまでの金額は、前2年に開始した事業年度の法人税額に対応する部分について繰戻還付を請求することができる。

(3)被災代替資産等の特別償却の特例(法人税)
 被災した資産を代替する資産を取得した場合は、取得価額の15~30%の特別償却を適用することができる。

(4)特定の資産の買換の場合等の課税の特例

 対象期間内に資産の譲渡をして、その譲渡の日を含む事業年度において取得をし、かつ、その取得の日から1年以内にその事業の用に供する資産について、譲渡資産に係る譲渡利益金額に相当する金額の範囲内で圧縮記帳(課税繰延割合100%)ができる。

(5)「課税事業者選択届出書」等の提出に係る特例(消費税)
 指定日までに届出を提出した場合には、本来の提出時期までに提出されたものとみなして、被災日を含む課税期間以後の課税期間について、適用(不適用)を受けることが出来る。

(6)登録免許税の免除特例
 被災した建物等を再取得した場合は登録免許税が免除される。

(7)自動車重量税

 被災自動車については、車検の残存期間に応じた金額が還付される。

(8)印紙税
 特別貸付による「消費貸借契約書」、「不動産譲渡契約書」、「建設工事の請負契約書」に貼付する印紙税の非課税。

3.復興支援税制―法人編―

(1)申告・納付等の期限延長
 個人の場合と同様

(2)所得税の軽減又は免除
 「雑損控除」又は「災害減免法による軽減免除」の有利・不利を判定し選択適用することができる。また、平成22年分(→更正の請求)又は平成23年分のいずれかの年分を選択し通算することが出来る。

(3)源泉所得税の徴収猶予・還付
 上記(2)の適用を受ける人は、勤務先の会社経由の申請に基づき平成23年分の源泉所得税の徴収猶予、又は還付を受けることが出来、確定申告にて精算する事になる。

(4)住宅借入金等特別控除の特例
 建物に被害を受け自宅に居住出来なくなった場合でも残りの適用期間について適用を受けることが出来る(一時的でも可能)。

(5)納税の猶予
 「納税の猶予申請書」の提出し、承認を受けた場合は納税の猶予を受けられる。

(6)予定納税額の減額
 「予定納税額の減額申請書」を7月15日までに提出することによって減額をしてもらうことが出来る。なお、減額申請書の提出期限も延長の対象となっている。

~受領した義援金等について~
 受領した方の社会的地位、贈与者との関係に照らし社会通念上相当と認められるものについては、課税の対象とはならない。

4.復興支援税制―個人編―

(1)個人事業者

1)被災事業用資産の損失に係る取扱
 棚卸資産・事業用資産について生じた損失を平成22年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入することが出来る。

2)平成22年分の所得において純損失が生じた場合
 平成21年分の所得に繰り戻して所得税の還付請求をすることが出来る。

3)純損失金額の繰延期間
 所得税法上は3年、復興支援税制上は5年に延長されている。
 ※その他の特例については法人と同様の措置

(2)手続き等
 震災の被害を受け、資料が流出してしまった様な場合でも下記の取扱は受け付けてもらう事が出来る。

1)添付書類の流出(源泉徴収票など)
2)帳簿書類の流出
 前年所得を参考に合理的な計算に基づいて算出をすることになる。罹災証明書の提示することによって税務署にて昨年の申告書のコピーさせてもらえる。
3)帳簿喪失による青色申告の取扱
4)帳簿喪失による仕入税額控除の可否
5)帳簿喪失による一般・簡易課税への変更の可否

 なお、国税庁のHPにて『東日本大震災により被害を受けた場合の所得税の取扱(情報)』にQ&Aを織り交ぜて詳しく記載されております。是非一度ご一読下さい。

渋谷事務所 戸田盛通

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