配偶者控除の行方と、家族の在り方について

前回、配偶者控除の見直し概要についてお伝えしましたが、今回は、配偶者控除のそもそもの趣旨・目的について見直してみたいと思います。

もともと民法・税法においては、「夫が働いて、専業主婦と子供を扶養する」という家族構成が、大多数であることを想定していたものであると思われます。配偶者控除の規定も、この想定に基づいてのものだと考えられます。ところが、現代においては、家族の在り方は非常に多様化しています。

共働きの家庭は今や当たり前の光景ですし、専業主夫もさほど珍しいことではなくなりました。サザエさんの磯野家のような大家族の方が、むしろ珍しくなりました。冒頭で触れた「103万円の壁」の問題は、こうした社会情勢の中で、共働きをしつつ配偶者控除を受けられる範囲を増やそうという議論です。家族の在り方が変わってきている現在、配偶者控除の適正なあり方についても、深く議論がなされているのです。

ところでみなさんは、性的マイノリティという言葉をご存知でしょうか?
同性愛者など、現在の社会では少数派とされる人たちのことで、これまでは法律等の公的な枠組みの外におかれてしまっていました。しかし近年においては、渋谷区・世田谷区を始め、全国の自治体において、同性パートナーシップ制度というものが広がりを見せ、同性婚が正当な権利として保証されつつあります。
残念ながら今のところ、配偶者控除の適用はありません。また、相続の場合を考えても、現状ではパートナーに財産を引き継ぐためには、遺言や養子制度の活用が必要です。異性間での婚姻と比べて、法的な権利の担保については、まだ大きな隔たりがあると言えます。

当たり前のことですが、世の中には様々な人たちがいて、様々な生き方をしています。こうした生き方の多様性を、法律や制度として認める方向に動いていくことが、日本に限らず、全世界的な流れであるように思われます。そう遠くない内に、パートナーシップ控除というものが生まれる日も訪れるかもしれません。

東京練馬事務所 戸﨑悟史

 


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