退職給付引当金の測定プロセス

退職給付引当金とは、会計上、会社が従業員の将来の退職金の支給に備えて、退職金規定に従い退職給付会計基準のもとで計上される引当金をいいます。従来の退職給与引当金は、会社から直接支給される退職金のみでしたが、現在は企業年金制度などの外部積立を利用して年金支給まで含んで計上されています。

我が国における退職給付引当金は、
1.まず退職一時金や確定給付企業年金につき、制度ごとに将来退職後に必要となる給付額につき、個人別に見積もります。一般的に退職給付は、給与額や勤続期間に応じて加重されるため、この見積もりには昇給率の算定と退職までの残存勤務期間が必要となります。

2.次に、見積もられた退職給付見込額を、各勤務期間に配分します。

この配分方法は、「期間定額基準」「給付算定式基準」「支給倍率基準」などがあり、原則として「期間定額基準」が採用され継続適用することとなります。
期間定額基準」は、退職給付見込額を勤続年数で割った額を各期の発生額とし、「給付算定式基準」は、退職給付制度の算定式に従って各期間に配分します。

このようにして算定された各期間の発生額のうち、実際勤務期間に応じた合計額を一定の割引率で期末日の現在価値まで割引計算したものが、退職給付債務(PBO)となります。退職給付会計基準では、どのような割引率を設定するかというと「期末における長期国債、政府機関債及び優良社債の利回り」を参考とします(日本企業の多くは、2~4%の割引率を採用)。

退職給付引当金は、この退職給付債務から、企業が外部に積み立てている年金資産を控除したものであり、給与水準の改訂等により発生する過去勤務債務、年金資産の期待運用収益と実際運用収益の差異や退職給付債務の見積もり差異などによって発生する数理計算上の差異を算定し加算・減産して退職給付引当金を算定します。また、年金資産は様々な資産で運用されているために、期末の時価残高で見積もることが義務づけられているため、市場の運用環境により残高は大きく変動するリスクを抱えています。

出典:日本経済新聞社「新・現代会計入門」伊藤邦雄著
    税務経理協会「財務会計論」中村泰将著

千葉旭事務所 大木剛仁

 

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