軽減税率、どっち?

2017年4月の消費税率10%への改正と同時に導入が議論されている軽減税率について、対象品目の線引き、絞込みが大きな焦点の一つになっています。与党税制改正大綱においては、線引きが明確で容易か、類似の品目間で公平な取扱いがなされているか等の視点に立つことを求めていますが、実務上は決して簡単ではありません。個々の品目について、「生鮮食品」「酒類」「飲食料品」「外食」に該当するか否か判断に迷うものが数多くあります。
いくつかの例を紹介しますが、軽減税率導入に伴う税収減の推計に用いられている総務庁の家計調査の支出項目分類を参考にすると、下記のような取扱いになると思われます。

ペットフード
食べると美味しいという方もいますが、「教養娯楽用品」に分類されるため、食料品にはなりません。


水道代は、「上下水道料」に分類され、食料品には該当しませんが、東京都水道局が販売する「東京水」は飲用適の水をペットボトルに入れたもので「飲料」にあたります。

牛乳
「乳卵類」に分類され、飲料ではありません。

ノンアルコールビール、ホッピー等
「酒類」はアルコール分1%以上を含む飲料と定義されているのでどちらも「飲料」です。もちろん焼酎割の焼酎は「酒類」にあたります。なお、「料理酒」は「他の調味料」とされ、食品に該当します。

ファーストフードや蕎麦屋さんの出前
飲食店により提供された飲食物は、店内や宅配等の別にかかわらず、「外食」に分類されます。

持ち帰り弁当、駅弁
「主食的調理食品」とされ、外食ではありません。

学校給食
「外食」に分類されています。

コンビニのハム野菜サラダ
カット野菜は「生鮮野菜」、ハムは「加工肉」に属します。生鮮食品か否か、難しいところです。

米は「米」、卵と牛乳は「乳卵類」、わかめは「乾物・海藻」
「生鮮魚介」「生鮮野菜」「飲料」のいずれにも属しません。
なお、消費者庁(以前の農林水産省)が制定している「生鮮食品品質表示基準」では、いずれも生鮮食品に含まれています。

※家計調査における定義
  (食料)
    飲食に供される食品及びこれに伴うサービスに対する支出。
  (生鮮魚介)
    採取されたままのもので、保存などのための加工がされていないもの。冷凍、洗浄、切断、不要物の除去などの最小限の加工を加えたものも含む。
  (生鮮肉)
    切断、薄切りなど最小限の加工を加えたもの。臓もつも含む。冷凍も含む。
  (生鮮野菜)
    野菜(きざみ野菜も含む)、生の豆類。冷凍及び野菜の乾物を水で戻したもの、あくぬきのためにゆがいたものも含む。
  (生鮮果物)
    冷凍も含む。切り売りも含む。
  (飲料)
    乳製品、薬用品以外の飲み物(素材となる茶の葉やか粒・粉末なども含む)で、アルコール分1%未満のもの。缶・瓶・パック・ペットボトル入りを含む。
    自動販売機・駅・車内売りも含む。
  (酒類)
    アルコール分を1%以上含む飲料。薬用酒やみりんは除く。缶・瓶・パック・たる入りを含む。自動販売機・駅・車内売りも含む。
  (外食)
    原則として、飲食店における飲食費。飲食店(宅配すし・ピザを含む)により提供された飲食物は、出前、宅配、持ち帰りの別にかかわらず、
    全て「外食」に分類する。また学校給食も含む。

このように、杓子定規に家計調査の定義を当てはめて考えると、生活実感からはかけ離れた結論になってしまうものもあり、これら以外にも判断の難しいものはまだまだあるでしょう。いずれにしても、国民目線で公平性、納得性の高い線引きが求められています。

出典:「消費税の軽減税率に関する検討について」(平成26年6月5日 与党税制協議会資料)
    総務省家計調査「収支項目分類表」
    生鮮食品品質表示基準(平成20年1月31日 農林水産省告示)

渋谷事務所 樫村邦彦

 

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