美術品等の減価償却の判定について

美術品等については、現行では時の経過により価値が減少しないものとして、減価償却資産にあたらないとされています。

美術品等の判断基準として、法基通7-1-1で下記のように定められています。
   1.書画骨とうは原則、減価償却資産に当たらない。
   2.「古美術、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの」は書画骨とうに該当
   3.「美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等」は原則、書画骨とうに該当
   4.書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満のものについて、
      減価償却できる。

この通達は昭和44年に制定されたもので、約30年経過しており、その後の美術品等の多様化や経済状況の変化もあるため、取引実態に応じて見直す動きが出てきています。国税庁では、10月10日に見直しについての、意見募集を開始しています。

通達改正案では、美術品等の判定について、次の基準を示しています。
   1.「古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの」は減価償却資産に該当しない
   2.1.以外の美術品等で、取得価額が1点100万以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く)は
      減価償却資産に該当しない。

このように、金額基準の引き上げと美術関係の年鑑等に掲載の基準を廃止しています。また、100万以上の美術品等であっても、「時の経過によりその価値の減少することが明らかなもの」については、減価償却資産として取り扱われることとしています。

その具体例として「会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く)として法人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用することが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる」とあります。

この改正通達案の適用時期は、平成27年1月1日以後に開始する事業年度において法人の有する美術品等について適用することされています。
「有する」とされているため、以前に取得し、現在非減価償却資産として管理している美術品等について、改正後の通達案に従って判定した結果、減価償却資産と取り扱うことができるものについても、平成27年1月1日以後に開始する事業年度から減価償却資産として償却することが認められます。
また、この取扱いは個人の有する美術品等においても、所基通2-14の改正により、平成27年分以後の年分において適用されます。

現在、償却できない美術品等をお持ちの方は、この改正により、償却できるようになるかもしれません。ご確認ください。

出典:国税庁「法人税基本通達の制定について」
    ほか2件の一部改正案(時の経過により価値の減少しない資産の範囲の見直し)の対する意見公募手続の実施について

渋谷事務所 若林昭子

 

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