給与所得控除の上限設定と復興特別所得税

平成24年度税制改正大綱が閣議決定され、その改正案のひとつとして、「給与所得控除の上限設定」が見直されました。
今回はその内容についてご紹介します。

給与について税金の計算をする場合には、次の算式を用いて課税対象となる給与所得の額を計算します。

給与収入- 給与所得控除額= 給与所得

給与所得控除とは、給与を得るための経費を概算で計算した控除項目です。この給与所得控除は、給与収入に応じて逓増的に控除が増加していく仕組みであり、現行の税制では最低65万円の控除が受けられ、上限は設定されていません。
例えば、給与等の収入金額が1,000万円を超えている場合には、収入金額の5%+170万円が給与所得控除額となり、仮に1億円の給与収入を得ているとすれば、1億円の5%+170万円=670万円が給与所得控除額になります。つまり、どれだけ高収入であっても給与所得控除額に上限はありませんでした。

しかし、この度の改正で、給与所得者の必要経費は、収入に応じて必ずしも増加するとは考えられないことや、主要国においては定額又は上限が設定されているとの理由から、その年中の給与等の収入金額が1,500万円を超える場合には、給与所得控除の金額は、245万円を上限と設定されました。
1,500万円という基準は、中小企業の平均給与の3倍程度を参考に算出され、サラリーマン全体の1.2%に相当する約50万人に影響が出る試算です。

具体的には、例えば、給与収入が2,000万円の場合の給与所得控除額は、現行制度では270万円ですので、仮に実効税率を40%として試算すると、(270万円-245万円)×40%=年間10万円の増税となります。

この改正は、平成25年分以後の所得税(個人住民税は平成26年度以後)から適用されます。またこの改正に伴い、給与所得の源泉徴収税額表や、賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表、年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表についても改正があります。

さらに、平成25年分の所得税から、復興特別所得税が開始されます。この復興特別所得税は、所得税額の2.1%を個人が負担するものです。
つまり、平成25年分以降、給与所得控除が制限されたことによる増税分の他、この復興特別所得税も上乗せされ、税の負担が増す、ということになります。したがって、来年以降の所得税を試算する際には、給与所得控除だけではなく、復興特別所得税についても留意する必要があります。

上記の内容で何かご不明点等ございましたら、コンパッソまでお気軽にお問合せ下さい。

出典:財務省ホームページ(平成24年度税制改正大綱)
    国税庁ホームページ(給与所得控除)(復興特別所得税)

川崎事務所 鈴木那央樹

 

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