経理・人事担当者視点での年末調整の注意点

早いもので今年もそろそろ年末調整の準備を行う季節がやってまいりました。今回は、年末調整を行う会社側の視点にたって、特に注意すべき点をご紹介したいと思います。

配偶者、扶養親族の所得確認
1.概要
配偶者控除、扶養控除の適用要件の一つに、「その配偶者(被扶養者)の合計所得金額が年38万円以下であること」というものがあります。
合計所得金額とは、簡単に説明しますと、給与、年金、不動産所得、株式譲渡所得などを合計した金額のことを言います。このなかで、給与であれば給与所得控除後の金額、公的年金であれば公的年金等控除後の金額、不動産所得などは必要経費控除後の金額となります。一般にパートの配偶者が年間103万円以下の場合に扶養になると言われるのは、103万円-65万円(給与所得控除)=38万円となるためです。
 
2.注意すべき点
合計所得金額が38万円以下であるかどうかは、各従業員が年末調整の際に記載する扶養控除申告書を基に判断することになるかと思います。そのため、従業員本人が記載したこの金額に誤りがある場合には、後日税務署から扶養の是正措置(修正)を受け、会社が当該従業員から徴収の上、納付することになります。
そこで、このような事態を防ぐために年末調整を行う会社側としては、配偶者の所得確認書類(源泉徴収票等)を添付させるというもの一つの方法です。

住宅ローン控除
1.概要
控除限度額などが年によって異なりますが、簡単に言いますと一定の要件に該当する場合には、住宅ローンの年末残高に一定率を乗じた金額を所得税額から控除する制度です。年末調整では、従業員から「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」とローンの「年末残高証明書」の提出があった場合に、住宅ローン控除を適用します。
※「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」は、適用初年度に本人が確定申告をした際に「控除証明書を要する」としておくことで、適用可能全期間分の用紙が税務署から本人に郵送されてきます。紛失した場合には、本人の住所地を管轄する税務署で再発行を受けることができます。

2.注意すべき点
(1)ローンが連帯債務の場合
一人の収入では住宅ローンの希望額を借りられない場合などに、収入合算をするために配偶者や親子の連帯保証人をつける、連帯債務とする、ペアローンとするなど様々な借入の方法があります。この中で連帯債務の場合は注意が必要です。
連帯債務の場合は、債務の負担割合に応じてそれぞれが住宅ローン控除を受けることになり、給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書に負担割合を記載する必要があります。
この債務負担割合は最初に住宅ローン控除を受けるために確定申告をした際に決定されています(決定にあたっては、自己資金の負担割合や所得を考慮して決定しなければ贈与となる可能性があります)。そして、決定した負担割合は原則として変更することができないものです。
よくある話としまして、妻が産休・育休で収入がなかったため、あるいは父親が退職し所得がなくなったため、従業員本人が全額を負担したものとして債務負担割合を記載してこないことがあります。
そのため、年末調整を行う側としましては、前年の負担割合と変更がないかを確認する必要があります。基本的に連帯債務の場合は、金融機関が発行する残高証明書に「連帯債務者あり」等の記載がされていますので、このような記載がある場合には特に注意が必要です。
なお、ペアローンの場合は、基本的に債務者それぞれに残高証明書が発行され、残高もそれぞれの残高となるため、特に注意は必要ありません。
 
(2)住宅ローンの借り換えがあった場合
借り換えをした場合には、次の要件を満たせば引き続き住宅ローン控除を受けることができます。
  ・新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること。
  ・新しい住宅ローン等が10年以上の償還(返済)期間であることなど、住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること。
なお、要件にあてはまった場合の住宅ローン控除額計算の基礎となる借入金年末残高は以下のように決定されます。
  A≧Bの場合   対象額=C
  A<Bの場合   対象額=C×A÷B
      A=借り換え直前における当初の住宅ローン等の残高
      B=借り換えによる新たな住宅ローン等の借入時の金額
      C=借り換えによる新たな住宅ローン等の年末残高
年末調整を行う側としましては、従業員に借り換えがあった旨を申告させること、上記要件に該当すること、A、B、Cの金額を記載させるためのチェックリストのようなものを用意しておくことが望ましいかと思います。

従業員が多い企業では年末調整の事務負担は相当なものかと思います。何かお困りのことがありましたら、コンパッソ税理士法人までご相談ください。

出典:国税庁HP

渋谷事務所 大橋暁

 

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