経営改善計画と資金繰り計画の有効活用

中小企業経営力強化支援法が施行されて約1年が経過しました。「経営改善計画」や「資金繰り計画」という言葉が浸透し、中小企業金融円滑化法が終了した後、金融機関からどのように融資を受けていくか、ということが重要な課題になっております。
そこで今回は、「資金繰り計画」と「経営改善計画」の2つについて、融資とは違った側面からご紹介したいと思います。

1年後の銀行預金残高は?
今から1年後に、会社の銀行預金残高がいくらになっているでしょうか?」という問いがあったとすれば、それはかなりの難問ではないでしょうか。
今後1年間の売上は?経費の増加はどの程度?臨時の出費は?不確定要素が多い中で、1年後の銀行預金残高がどのくらいになっているかを予測することは困難を極めます。

中小企業経営力強化支援法の立法目的
中小企業への資金繰り支援については、予てより金融円滑化法がその一端を担ってきましたが、同法が終了した後は、その出口戦略として約1年前に中小企業経営力強化支援法が施行されました。中小企業経営力強化支援法の一つの目的は、認定を受けた経営革新等支援機関等が中小企業の経営改善を手助けするために、経営状況の分析や事業計画の策定等を通じて、経営が軌道に乗るまでの中小企業の資金繰りを支援するところにあります。5年~10年という中長期の抜本的で実現可能な事業計画等を担保に金融機関が融資を行うというところにその特徴があります。

経営改善計画は融資を受けるためだけのものではない?
お金を貸す側である金融機関は、預金者から預かったお金を融資により貸し出すことになりますので、融資先の選定には慎重にならざるを得ません。
中小企業経営力強化支援法においては、実現可能な経営改善計画を策定して、その経営改善計画が進められた場合に返済可能なキャッシュフローが生まれる、という予測のもとで金融機関が貸出しを行うことが前提とされております。
返済可能なキャッシュフロー=企業に生まれるキャッシュフローですので、たとえ融資を受けなくても、経営改善計画を策定する価値は大きいと考えられます。

経営改善計画と資金繰り計画は表裏一体
キャッシュフローが成り立たなければ、どんなに素晴らしい経営改善計画であっても実現できません。経営改善計画を円滑に実行するためには資金繰り計画が必要となります。また、資金繰り計画を立てる中では、例えば次のように、経営改善計画への影響を検討する必要があります。

1.資産の売却等をすべきか否か
   保有する資産を処分して資金化することで、資金繰りを改善する方法もあります。資産の処分を行う際には、その処分が及ぼす影響を事前に
   検討する必要があります。
   例1)土地建物等の売却をして返済に充てるべきか否か
       →土地建物等の固定資産を有効活用する方法はないか?
         リースバックを行う場合には増加する賃借料負担と金利・税金軽減のバランスは?
         売却により事業活動に与える支障の多寡は?

   例2)保険を解約して資金化をするか、もしくは、契約者貸付を利用して資金調達をするか
       →契約者貸付を行った場合の利率は?
         解約した場合に必要な保障は足りているか?

2.経費を削減すべきか否か
   経費を削減すれば支出は少なくなります。ただ、経費を削減したことでそれ以上収入が減少してしまったり、事業リスクが高まる可能性が
   ないかを検討する必要があります。
   例1)事務所移転を行って、月々の家賃を下げる
       →移転費用はどのくらいかかるか?
         移転を行ったことによる減収の影響は?
         事業の円滑な運営に支障がないか?

   例2)借入金の繰上返済を行うことで月々の金利負担を下げる
       →多額の一括返済が今後の事業計画に必要となる資金に影響を及ぼさないか?
         金利負担の軽減によりどれだけ経常利益及び毎月の資金繰りが改善するか?
         繰上返済手数料負担や返戻信用保証料の兼ね合いは?

3.投資を行うべきか否か
   経営の立て直しを図る過程においては、積極的な新事業への投資が必要になることもあります。資金に限りある中でV字回復を目指す状況に
   おいては、投資への慎重な判断が必要となる場面も少なくありません。
   例1)売上の増大のために営業投資を行うか否か
       →売上増大による投資回収タイミングは資金計画とマッチするか?
         投資により増加する固定費は毎月のキャッシュフローから賄えるか?

   例2)新規設備を導入し、効率化を図るか否か
       →新規設備を導入することにより、ランニングコストはどの程度軽減されるか?
         導入により売上の増大は見込まれるか?
         導入費用の回収期間は?

これらはほんの一例ですが、このような意思決定は、経営者の皆様が日々の経営判断の中でされていることであり、電卓を叩いて容易に計算できるほど簡単ではないということを、日々実感として感じております。
ただ、経営者の皆様が産み出した経営戦略や行動目標を、「経営改善計画」や「資金繰り計画」として数字に落とし込んでみることで、見えなかった課題が明確になる、あるいは、思いもしない効果が浮き彫りになる、といったことが多々あることも事実かと思います。
「経営改善計画」や「資金繰り計画」を策定していく中でお困りのことがございましたら、お気軽にコンパッソ税理士法人までご相談下さい。

出典:中小企業庁HP【経営サポート「経営革新支援」】

渋谷事務所 川上大輔

 

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