
私立学校の収益事業
公益法人の一種である学校法人は、主に私立学校の設置を目的として設立される法人です。
今回は、この私立学校の収益事業についてご紹介します。
私立学校法第26条にあるように、私立学校が収益事業を行うには、私立学校の教育に支障がなく、その収益を私立学校の経営に充てることが必要です。また、その収益事業は一定のものに限られます。
なお、新たに収益事業を行おうとする場合は、寄附行為(企業でいう定款のようなもの)を改正して所轄庁の認可を受けなければいけません。
一定の事業に限られる収益事業の種類は次のとおりです。
1.農業、林業
2.漁業
3.鉱業、採石業、砂利採取業
4.建設業
5.製造業(「武器製造業」を除く。)
6.電気・ガス・熱供給・水道業
7.情報通信業
8.運輸業、郵便業
9.卸売・小売業
10.金融業・保険業(「保険媒介代理業」及び「保険サービス業」に限る。)
11.不動産業(「建物売買業」、「土地売買業」を除く。)、物品賃貸業
12.学術研究、専門・技術サービス業
13.宿泊業、飲食サービス業(「料亭」、「酒場、ビヤホール」及び「バー、キャバレー、ナイトクラブ」を除く。)
14.生活関連サービス業、娯楽業(「遊戯場」を除く。)
15.教育、学習支援業
16.医療、福祉
17.複合サービス事業
18.サービス業(他に分類されないもの)
なお、知事所轄学校法人が行うことができる収益事業の範囲は、各都道府県の告示により定められています。
また、学校法人は普通法人と、税制上の取扱いが異なる点がいくつかあります。以下に学校法人の課税関係で注意する点をあげます。
<法人税>
学校法人 : 非課税(収益事業を除く部分)
税率19%(収益事業)
普通法人 : 税率25.5%
<寄附金の限度計算>
損金算入限度額は、次のいずれか大きい金額
1.当該事業年度の所得金額の50%
2.年200万円
<税務上のみなし寄附金>
学校施設の一部を収益部門で使用し、その使用料を公益部門へ支払ったものも、部門間の資金移動なども、このみなし寄附金となります。
<中間申告>
学校法人は中間申告の義務はありません。
<法人税の申告>
法人税の申告の際は、収益事業に係る計算書類とともに学校法人全体の計算書類を添付することになっています。
学校法人(公益法人)は本来「営利を目的としないこと」とされていますので、原則、法人税は課されませんが、今回ご紹介した収益事業から生じる所得に対しては、法人税が課されることとなります。
上記についてご不明点、ご質問がございましたら、コンパッソ税理士法人までご相談下さい。