
破産
2014年上半期の負債額1,000万円以上の企業倒産件数は5,073件でした。
前年上半期比9.7%減で、5年連続で減少し、1991年の4,723件以来の低水準にとどまりました。金融機関が中小企業のリスケ要請に応じた事などにより、倒産が抑制されたためと考えられます。
企業の業績が好転する一方で、建設業をはじめ、製造業、外食産業など幅広い業種で人手不足が表面化しています。人手不足による工事の遅滞や中止、製造現場での生産の遅れ、外食産業での店舗閉鎖などによる倒産も発生しています。また、最近の倒産では、人件費高騰による負担増から資金繰りが悪化したケースも出ており、建設業を中心に、運送業やサービス業などでも発生しています。売上が伸びても利益が伴わないという状況に苦しむ企業も少なくありません。このように、企業にとって人手不足や人件費上昇が経営の新たな重荷になってきています。
以下に、倒産手続きのひとつである破産についてまとめました。
1.破産とは、債務者が債務を完済することができなくなった状態をいいます。
2.破産手続
破産者の財産を換価処分して金銭に換え、それを各債権者に支払い、配当するという手続です。破産手続が完了すると、官報により公告されます。
<管財事件>
裁判所によって破産管財人が選任され、破産管財人による財産等の調査・管理・換価処分・配当等が行われます。また、破産管財人報酬も含めて
裁判所に納める予納金が必要になります。
<同時廃止事件>
破産管財人は選任されないため調査等は行われず、手続きは簡易に終了します。また、費用も少額で済みます。
3.自己破産
債務者(破産者)が自ら破産手続を申し立てることです。
4.会社の破産
会社が破産すると、その会社の法人格は消滅します。つまり、法的に存在しないということになりますので、会社のすべての財産は処分し、債務や滞納税金は
消滅します。また、会社と役員個人とは法律上別の人格ですから、会社が破産したからといって、役員が破産しなければならないということはありません。
但し、会社の債務について役員が保証人・連帯保証人となっていた場合には、役員が肩代わりしなければなりません。よって、会社の債務を個人として
支払えないということであれば、役員も自己破産などを検討する必要があります。
5.個人の破産
個人は破産したとしても、消滅するわけではありません。よって、破産をした後の最低限度の生活を確保するため、破産をしても処分しなくてもよい財産が
あります。この財産のことを自由財産といいます。また、非免責債権といい、支払義務を免除されない債務があります。
自由財産
・99万円以下の現金
・生活に欠くことができない衣服、寝具、家具等
・各種年金、生活保護給付受給権、中小企業退職金共済金受給権等
・裁判所によって、自由財産として取り扱ってよいと認められた財産
・処分すること自体に費用対効果が見込めないというような財産
非免責債権
・税金
・罰金
・故意に債権者一覧表に記載しなかった請求権
・不法行為に基づく損害賠償請求権
・養育者又は扶養義務者として負担すべき費用に関する債権
企業は業績が悪くても資金繰りがどうにかなっているあいだは倒産しません。逆に、黒字倒産という言葉があるように、どんなに業績が良くても資金繰りが回らなくなれば簡単に倒産してしまうこともあります。ということは、倒産状態に至ってしまう前に日々の経営において損益だけではなく資金の動きにも目を向けることがとても重要です。
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