白井相談室第7回『生計を一にする、って何?』

第6回目は、生計を一にするについて取り上げてみたい。

(質問)
私は、夫の所有する建物を借りて安い賃料を払って、美容室を開業することにしました。開業前に商工会議所でいろいろ相談したところ、ご夫婦で生計が一なので、その場合の賃料はなかったものとされる、と言われました。どういうことでしょうか?

(答)
1.まず生計が一とは、日常生活の資を共にすることを言います。具体的には次のように考えます。
   (1)勤務・修学・療養等の都合上、他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいるときは、次の場合は、これらの親族は生計を一にする
      ものとします。
        (イ)当該他の親族と日常の起居を共にしてない親族が、勤務・修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例
           としている場合
        (ロ)これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養等の送金が行われている場合
   (2)親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を
      一にするものとします。 (所得税基本通達2-47)

2.次に質問の生計一のご夫婦間での賃料の取り扱いは下記の図のようになります。

つまり、夫所有の建物に係る減価償却費・固定資産税等は、事業を営む妻の必要経費に算入できます。また、夫が得た収入は税務計算上、ないものとみなします。

参考までに、他の場面でも、この生計を一にする、という考え方がでてきますので、いくつか挙げておきますと、
(1)所得税における扶養控除
   納税者と「生計を一にする」一定の親族は扶養控除が受けられます。
(2)親族に対する給与の取り扱い
   納税者が「生計を一にする」親族に給与を払っても原則として必要経費に算入できません(所法56)。但し、青色専従者給与の届け出をした
   一定の給与は必要経費算入できます。また一定の白色事業専従者給与も必要経費算入できます(所法57)。
(3)弁護士が、「生計を一にする」妻に支払った弁護士報酬が必要経費に算入できないとされた事例(最高裁H16年11月2日判決)
(4)弁護士が「生計を一にする」妻に払った税理士報酬が必要経費に認められた事例(東京高裁H16年6月9日判決)
(5)平成23年相続税法の改正案(延期お流れ法案)
 平成23年改正案の相続税法では、その生命保険評価において一人5百万円の非課税枠がありますが、これを「生計を一にする」親族にしか認め
   ない方で検討されました。また、未成年者・障害者やごく一部の方を除き、事実上この生命保険の非課税枠がなくなると考えられました。
   今後も目の離せない考え方です(平成23年度改正案:震災等の影響で延期)。

留意点として・・・
かくのように、「生計を一にする」とは、同居、別居を問わず、その親族が夫婦、親子などを中心として相助けて共同の生活を営んでいる者であるかどうかという見地から、いろいろな状況を総合勘案して判断せねばなりません。また、相続税などでも関わってくる問題なので、詳細は専門家にお聞ききください。

代表社員税理士 白井輝次

 

この記事について評価にご協力ください
  •  参考になった 
  •  わかりにくかった 
  •  全く参考にならなかった 
  •  探していた記事と違った 

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。


関連記事

■個人事業廃止後に貸倒れが発生した時の処理は?

■電子申告の義務化について

■「アドバイザリーサービス契約書」に印紙は必要か?

■平成30年度税制改正 -資産課税編その2-

■ITを活用した記帳業務