ナレッジ

KNOWLEDGE

  1. HOME
  2. Knowledge
  3. 税務・会計
  4. 生命保険会社の株式割当てについて

生命保険会社の株式割当てについて

もしもの時に備えるための生命保険、皆さんは加入していますか?

さて、今年の4月1日に第一生命が株式会社に組織変更しました。これに伴い、保険契約者に株式が割り当てられますが今回はその課税

関係についてご紹介します。

1.割当てについて

(1)割当て対象

補償基準日である平成21年3月31日現在の有配当保険契約の契約者

(2)整数株式の場合

割当てられた株式の全部について、株式で受け取るか、金銭で受け取るかを選択出来ます。金銭の場合は、以下の金額が指定口座に

振り込まれます。

 135,685円×株式数-送金費用(上限500円の実費)

(3)端株の場合

第一生命により市場で一括売却され、以下の金額が指定口座に振り込まれます。

  135,685円()×端株部分の数

  売出価格(140,000円)から引受証券会社の1株当たりの手数料を控除した売却価格

2.課税関係について

(1)株式の割当てに係る経済的利益

 140,000円×整数株式数+135,685円×端数株式数・・・A

 ※株式の割当ては消費税法上の資産の譲渡には当たらないので、消費税の課税関係は生じません。

イ.個人の場合

上記Aの金額が平成22年分の一時所得の総収入金額となります。一時所得の計算は以下の算式で計算し、その1/2が総合課税の対象となり

ます。

 算式):総収入金額-その収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)

 ※その収入を得るために支出した金額は0円となります。
 ※他に一時所得がある場合は、すべて通算する必要があります。例えば、年末調整の対象となる1ヶ所からの給与のみのサラリーマンは、
  前記Aの金額が90万円以下である場合、確定申告は必要ないこととなります。

ロ.法人の場合

上記Aの金額が平成22年4月1日の属する事業年度の益金の額に算入されます。なお、損金の額に算入される金額は0円となります。

(2)金銭で受け取った場合

上場株式等の譲渡による所得に該当し、他の所得と区分する申告分離課税となります。ただし、端数部分について譲渡損益は発生しません。

 ※消費税については有価証券等の譲渡として非課税となります。

イ.個人の場合

 下記の算式により株式等の譲渡所得等の金額を計算します。

 算式):総収入金額A-(取得費B+譲渡費用)=株式等の譲渡所得等の金額

     A:売却価格(135,685円)×整数株式数

     B:売出価格(140,000円)×整数株式数

     A-B=譲渡損失C

 ※送金費用は、譲渡のために直接要した費用ではないので譲渡費用には該当しません。譲渡費用は0円となります。なお、上記の譲渡
  損失Cは、平成22年分の他の株式等の譲渡所得等の金額及び申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得金額から控除すること
  ができます。

ロ.法人の場合

上記譲渡損失Cを平成22年4月1日の属する事業年度の損金の額に算入します。また、送金費用も平成22年4月1日の属する事業年度の損金の

額に算入します。

※参考文献「第一生命保険相互会社の株式会社化に伴う株式の割当てを受けた場合の課税関係等について」
 (佐藤和助:大蔵財務協会「税のしるべ」平成22年3月1日号4頁)

川越事務所 水野 学

※PDF版はこちら

関連記事

最新記事

月を選択