特定公社債の範囲

皆様は、国税庁HPを利用されたことはおありでしょうか。国税庁HPでは、「タックスアンサー」や「パンフレット・手引き」などのサイトで、税に関する情報をわかりやすくまとめて提供しています。特に税目別・年度別のパンフレットは、当該年度の改正内容を大きくつかむには便利だと思いますが、先日内容を確認した際、少しわかりにくいのではと思った事例がありましたので、ご紹介したいと思います。

今回注目したのは、「特定公社債の範囲」についてです。「平成26年度の源泉所得税の改正のあらまし」の9番目の項目は、以下のようになっています。
(原文のまま)
特定公社債の範囲について、平成27年12月31日以前に発行された公社債の範囲から、同族会社が発行した社債が除外され、これに伴い、当該社債の利子でその同族会社の株主等が平成28年1月1日以後に支払いを受けるべきものは、20%源泉分離課税の対象から除外され、総合課税の対象とされました。

これを読んで、どのような改正だと思われますか?

前年の「平成25年度の源泉所得税の改正」では、社債等の受益権の課税方式についての改正がされています。債券の譲渡(償還)損益などに関する改正でもあるのですが、今回は、社債利息にしぼってお話をしてみたいと思います。

平成28年1月1日以後に適用される改正事項」として、特定公社債等の利子等については、20%源泉分離課税の対象から除外し、申告分離課税の対象とすることとされました。
対して、特定公社債以外の公社債(一般公社債)の利子等については、20%源泉分離課税を維持することとされています。ただし、「同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の株主等が支払いを受けるものは総合課税の対象とする」というなお書きがついています。
この、なお書き部分の改正は、高額所得者である同族会社の役員が、役員報酬を上げる代わりに会社が発行した私募債を引き受けて、その社債利子を受取ることにより、総合課税の限界税率(50%)ではなく、源泉分離課税(20%)で会社からの収入を得るという状況があったことを受けての改正です。この背景を理解したうえで改正の内容を見ると、どこがポイントなのかが明確になってきます。

注目すべきは、「特定公社債」です。平成25年度改正では、「特定公社債」の定義のひとつである「平成27年12月31日以前に発行された公社債」に制限はありませんでした。つまり、「同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の役員等が支払いを受けるもの」であっても、発行が平成27年以前なら「特定公社債」に該当するという扱いでした。その後、駆け込み発行による総合課税の回避を封じるために、平成26年度改正により、「同族会社の株主等が支払いを受けるべきものは除外する」という改正がされたというわけです。

いよいよ28年度の実務スタートを目前にして、改めて税法を確認していらっしゃる方も多いと思います。税法は、その改正の意図や経緯、前提となる要件などを理解し損ねると、思わぬ事態を招きがちです。受益権に限らず、ご不明な点がございましたら、コンパッソ税理士法人までお問い合わせください。

出典:国税庁HP

横浜青葉事務所 大西かおり

  

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