
減資の手続き
資本金の額が1億円以下の中小企業者には、税務上以下のようなさまざまな特例があります。
(ただし資本金の額が1億円以下の法人でも、資本金5億円以上の大法人の完全子会社等に該当する場合には、適用がありません。)
<税務上受けられる特例>
・法人税率軽減税率 所得金額800万円以下 15%
・少額減価償却資産(30万円未満)の損金算入
・交際費等の損金算入
・貸倒引当金の法定繰入率
・特定同族会社の留保金課税不適用
・欠損金の繰戻し還付
・繰越欠損金の控除限度額80%の制限なし
・措置法の中小企業者等の各種特別償却・税額控除
・法人事業税の外形標準課税の対象外
資本金1億円超の法人が、この特例を受けるために、減資という方法があります。
そこで今回は、減資の手続きについて触れてみたいと思います。
<減資の手続き>
1.原則として株主総会の特別決議が必要です。
2.債権者保護手続が必要です。最低1カ月以上の異議申出期間を定めて官報等で公告をし、知れたる債権者に対しては催告をします。
資本金の額の減少の効力発生日までに終了しなければなりません。
3.効力発生日から2週間以内に、本店所在地において、資本金の額の変更登記申請を行います。
4.資本金が減少した旨の異動届出書を所轄税務署、都道府県税事務所、市町村へ提出します。
減資は、資本金の額又は出資金の額を減少させることをいい、「資本金 / その他の資本剰余金」と仕訳される資本等取引です。
必ずしも株数を減少させる必要はありません。株数を減少させるときは、減資+株式併合、又は自己株式の取得・消却のいずれかの方法になります。
また、減資自体は、株主への払戻しが伴うものではありません。払戻しをする場合は、減資+その他資本剰余金を配当原資とする剰余金の配当という二段階の手続きになります。
株主への払戻しを伴わないものを無償減資といい、払戻しを伴う減資を有償減資といいます。
次の機会に、有償減資の会計と税務について述べます。