
消費税率引き上げ・・・届出の準備は大丈夫ですか?
2019年10月の消費税率10%への引き上げに伴い、8%の2019年9月までの駆け込み需要が想定されます。高額な資産の購入や、大規模修繕など多額な支出をした場合には消費税の還付を受けられる可能性があります。
還付を受けるためには、個人事業者など比較的小規模な事業者については消費税の届出が必要な場合があります。
どのような届出をいつまでに出せばよいのか、いくつかの例示をご紹介します。
消費税の還付を受けるためには、「本則課税」で消費税申告をする必要があります。
例1)消費税の免税事業者が消費税の還付を受けたいとき
・届出書:「消費税課税事業者選択届出書」
・提出期限:2018年12月31日まで
「消費税課税事業者選択届出書」を提出すれば消費税の課税事業者になることができます。注意すべき点として、この届出書を提出した場合には3年間課税事業者をやめることができません。(100万円以上の固定資産を購入しなかった場合には2年間の強制適用)
3年目の申告で消費税の納税額が多額になる場合もありますので、事前にしっかりとシミュレーションをしておく必要があります。
例2)消費税の簡易課税制度の適用を受けている場合
・届出書:「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」
・提出期限:2018年12月31日まで
消費税の簡易課税制度は、売上高から消費税納税額を算出する制度となります。高額な固定資産を購入しても消費税額の計算上控除することができないので、事前に不適用の届出書を提出する必要があります。
例3)届出書の提出を忘れてしまった場合
例1と例2の届出書はどちらも適用したい事業年度の開始前まで、2018年12月31日までに提出しないと適用されません。
万が一、提出期限を過ぎてしまった場合には・・・・・・対応策があります!
・届出書:「消費税課税期間特例選択・変更届出書」
・提出期限:2019年6月30日又は2019年8月31日
消費税の計算期間(課税期間)を3ヶ月ごと又は1ヶ月ごとに短縮することができます。
9月に固定資産を購入するのであれば、8月末までにこの届出書とともに「消費税課税事業者選択届出書」「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出すれば、本則課税の適用を受けることができます。
ただし、この届出書は2年間の継続適用が義務付けられています。
1ヶ月ごとを選択した場合には、消費税申告を2年間毎月行わなければなりません。
やはり消費税の課税期間は1年間のまま、忘れずに届出を提出することが大切ですね。
その他の特例
2019年10月の消費税率10%の引き上げについては、軽減税率も適用されます。今まで本則課税を適用していた事業者が計算の大変さから簡易課税制度を選択するケースもあるかと思います。本来は課税期間開始前までに届出が必要ですが、特例として適用を受けたい課税期間中に提出すれば認められることになりました。
(2019年10月1日から平成32年9月30までの日を含む課税期間に簡易課税制度を適用したい場合に、2019年7月1日以降簡易課税制度選択届出書を提出すれば、提出した課税期間から簡易課税制度を適用できます。
消費税率の引き上げは経理上にも大きな混乱が起きると予想されます。今のうちにできるだけ準備をしておきましょう。
ご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
参考:国税庁HP
消費税課税事業者届出手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_03.htm
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/h22kaitei.pdf
消費税課税期間特例選択・変更届出手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1932_1.htm
簡易課税制度選択届出書
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_13.htm
横浜青葉事務所 日高 健