消費税を巡る裁判 医療法人の請求を棄却

兵庫県の4医療法人は、「控除対象外消費税」を巡って国を相手に起こした裁判で、その判決が注目されていましたが、神戸地裁は平成24年11月27日、原告側の請求を棄却しました。今回は、その判決内容をご紹介したいと思います。

原告の主張
医療機関の収入の大部分を占める社会保険診療報酬は、消費税の「非課税取引」であるため、医療機関が支払った消費税の大部分は「控除対象外消費税」として課税仕入にはならず、医療機関が実質的な消費税の最終負担者となっています。兵庫県の4医療法人は、特定の業種にだけ「控除対象外消費税」が多額に発生し、その結果「特別の負担」を課すことには憲法14条1項(法の下の平等)に違反すると主張しました。

判決
判決に至った主な理由は以下の2点です。

1.消費税を最終消費者に転嫁できない業種は医療機関に限定されたものではなく、一般の事業者でも生じている。
2.医療機関の消費税負担額は診療報酬で既に手当されている。

判決では、「(控除対象外消費税の負担について)一般的に当然受忍すべきものとされる制限の範囲を超えているということはできない」として、医療法人の請求を棄却しました。
医療機関が購入する医療機器や器材は多額の費用がかかります。それらの器具の購入には消費税がかかり、年間に支払う消費税の額は、大学病院だと1施設あたり約3億円、公的病院では約8,000万円、民間病院は約3,000万円とも言われています。消費税が10%になった場合は更に負担が増加することになりますので、医療業界からは「このまま増税が続けば、医療水準を維持できない」と強い声が上がっています。

診療報酬改定の度に「控除対象外消費税」の負担を加味して設定していると政府は主張していますが、診療報酬に消費税相当額を加味してしまえば、そもそも「非課税」の意味を成さなくなりますし、サービスの最終消費者ではない医療機関が消費税を負担し続けるのは「適正な医療水準の維持」を考えると好ましくありません。そのため、かねてから医療業界では、医療機関が消費税を負担しない仕組みにするよう、社会保険診療報酬に係る消費税を「非課税」ではなく「ゼロ税率」にすべきとの要望があります。
医療における消費税の取扱いが検討されている中、今回の判決は、今後の議論に影響を及ぼす可能性があると言えそうです。

川崎事務所 都筑正之

 

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