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消費税の転嫁について その2

前回に引き続き、消費税の転嫁についてです。
第2回目は、取引先に対する消費税の転嫁についてご説明いたします。

第1回目で消費税の転嫁ができないと経営に悪影響が出てしまうとご説明しましたが、そんなことを言っても、取引先に商品など納入する際、「消費税分負けてくれ」と言われ、上乗せ分が転嫁できなくなるのでは?と不安に思っている中小企業の方もいると思います。
そんな中小企業の方々が安心して消費税を転嫁できるよう、買い手による消費税転嫁拒否等の行為を禁止する、「消費税転嫁特別措置法」が平成25年10月1日より施行されました。

消費税転嫁特別措置法の目的
費税の円滑かつ適正な確保を目的とし、買い手(大規模小売事業者や継続して中小企業者と取引している法人)による消費税の転嫁拒否等を防止します。

禁止される行為と主な具体例
1.減額、買いたたき
消費税分を支払わない、本体価格に消費税分を上乗せする契約をしていたのに実際に支払う段階になって消費税分を下げる、端数を対価から一方的に切り捨てるなどにより、対価を減額する。
原材料費は変わらないのに、新しい税率の消費税を上乗せした税込み価格よりも低い税込み価格を売り手に指定するなど、合理的理由がないのに通常の対価よりも低い価格を定める。

2.商品購入、役務利用又は利益提供の要請
買い手の指定する商品を購入しなければ、消費税上乗せについて不利な扱いをすることを示唆する。
消費税引き上げ分を上乗せする代わりに、売り手にディナーショーのチケットの購入や協賛金・従業員やスタッフの派遣を要請する。

3.本体価格(税抜価格)での交渉拒否
買い手が消費税額を加えた総額でしか記載できない見積書等の様式を定めて、その使用を余儀なくさせる。
売り手が提出した、本体価格と消費税額を別々に記載した見積書等を買い手が拒み、消費税額を加えた総額のみ記載した見積書等を再度提出させる。

4.報復行為
売り手が公正取引委員会に、上記1~3の転嫁拒否の事実を知らせたことを理由に、取引数量の削減や取引停止など不当な扱いをする。

違反行為をした場合には?
違反行為に対しては、公正取引委員会が「転嫁を拒否した消費税額分を支払う」といった是正のための指導・助言を行います。また悪質な違反については、社名の公表といった厳しい取り締まりを行います。最寄りの商工会議所や中小企業庁に相談窓口が設置されており、転嫁拒否行為を受けた場合には相談をすることができます。

中小企業者同士の取引でも違反をすれば取り締まりの対象となりますので、注意が必要です。違反行為が公表されれば企業のイメージが著しく失われることとなりますので、転嫁対策特別措置法や今後のガイドラインを十分理解し、公正な取引を行うことが重要です。
次回の最終回では、一般消費者に対して消費税を転嫁するにあたり注意することをについてご説明します。

出典:中小企業庁HP、日本商工会議所HP

川崎事務所 小野寺恭子

 

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