法人税減税

10月に国税庁から「平成23事務年度における法人税の申告事績の概要」が発表されました。
これは、平成23年4月1日から平成24年3月31日までに終了した事業年度に係る申告について、平成24年7月末までに申告があったものを集計したものです。これによると、申告所得金額、申告税額はいずれも2年連続で増加し、さらに、黒字申告割合は25.9%となり、過去最低であった前年度に比べ0.7%増加し、4年ぶりに上昇となりました。        

我々の仕事上、様々な商売のお客様の財務数値を拝見するにつけ、依然として厳しい経済状況が続いていると実感しますが、この国税庁のデータを見る限りではそれほど悲観すべき状況ではないのかもしれません。
そんな折り、平成24年8月に社会保障と税の一体改革関連法案が可決成立し、消費税の税率が平成26年4月1日から8%、平成27年10月1日から10%に引き上げられることになりましたが、消費税の増税がこのデータに表れているような「回復基調」に水を差すことにならないか心配されます。

しかし、世間で消費税増税が騒がれている中、法人税が減税になったことは意外と知られていないのではないでしょうか。
平成24年4月1日以後開始事業年度から法人税率は30%から25.5%へ4.5%引き下げられ、地方税を含めた実効税率では約5%の引き下げとなります。ただし、平成24年4月1日から平成27年3月31日に開始する3事業年度に関しては復興特別法人税額が上乗せされますので、復興特別法人税課税期間終了後(平成27 年度以降)において、実効税率の約5%引下げが実現されることになります。

それでは、法人税率の引き下げは法人にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
税額の減少が現金支出の減少となりキャッシュフロー改善の効果が発生します。他方、税効果会計を適用して過去に繰延税金資産を計上している法人については、税率の引き下げは将来の法人税等の支払いを減額させる効果も引き下げられることを意味するので、一時的な会計上の業績悪化(当期純利益の減少)になるケースも考えられます。
つまり、税効果会計においては、実効税率を用いて繰延税金資産の計上を行うことから、税率の引き下げにより繰延税金資産を取り崩す必要が出てくるのです(繰延税金資産の取り崩し→法人税等調整額の増加→当期純利益の減少)。

また、法人税率引き下げの財源確保のために、貸倒引当金制度の縮減や定率法の償却率の縮減、欠損金の利用制限と繰越期間の延長などの課税ベースを拡大するための改正も行われています。これらの改正を盛り込んだ平成23年度税制改正の国税庁の試算によると法人税では増収5,849億円、減収13,607億円で7,758億円の減税になるそうです。社会保障・税一体改革素案では、さらなる法人実効税率の引下げについても検討することとされています。

法人税減税を通じて企業の国際競争力の向上、国内の投資拡大や雇用創出の促進、ひいては日本経済の景気回復・拡大につながってほしいものです。

出典:国税庁「平成23事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」
    TKC出版「平成24年度税制改正の留意点」

千葉流山事務所 関口勲

 

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