法人税と所得税の課税の違い

一般的に個人に課される税金が所得税で、法人に課される税金が法人税ですが、双方とも所得(もうけ)に対して課される税金です。

所得税の課税の範囲は居住者と非居住者に分類され、さらに、居住者は「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分類される。
1.一般的に日本に住 んでいる人は、「非永住者以外の居住者」となり、世界中のどこで発生した所得であっても、日本で合計して課税される「全世界所得課税」であり、
2.一時的に来日した外国人などの「非永住者」は日本国内での「もうけ」である「国内源泉所得」と国外に源泉がある所得のうち、国内において支払われ、又は国内に送金されたものが所得として、税金が課されます。
3.日本に居住していない「非居住者」については、国内源泉所得のみが課税所得範囲となります。

 法人税についても基本的には同様の考え方で、内国法人は全世界所得課税であり、外国法人は国内源泉所得に限られます。この課税の範囲に個人と法人で大きな差異はありません。

 所得税と法人税の課税所得の範囲において、最大の相違点は、所得税法には非課税所得が規定されていることです。非課税とされる所得は、所得税法及び租税特別措置法、その他の法律に規定があり、それに限定されています。非課税所得の主なものとして、「障害者等の少額預金・少額公社債の利子等」(所得税法第9条第1項2号)や「給与所得者の通常必要な出張旅費等」(所得税法第9条第1項4号)などがあります。非課税所得の規定は、公益上又は政策上の理由、徴税技術上又は担税力の観点から課税することは相当ではないとの理由により課税されないとされています。また、課税所得の計算上、当然に除外される所得であり、非課税の適用を受けるための手続きは必要ありません。

 法人税法上の似たような規定として、益金不算入の規定があります。代表的なものとして、「受取配当金の益金不算入」があげられますが、益金不算入の規定は法人が受け取った株式等の配当金のうち、申告書上、一定の手続き及び計算により課税所得から除外されます。課税されない点で、所得税法上の非課税所得と似ているといえますが、納税義務者の意志の基に申告調整を行わなければ課税される「受取配当金の益金不算入」の規定に対し、所得税法上の非課税所得は当然にして課税所得の範囲には含まれておらず、全く異なるものと言えます。

 このような違いは、個人は事業者と生活者が一体となっており、どこまでが事業で、どこからが生活者であるか、その線引きは難しいものとなります。一方、法人はその行為のすべてが事業行為であり、線引きの問題は発生しません。その点、法人税の方がシンプルな計算構造と言えます。
 このように、所得税と法人税の違いを触りだけ見ても、なかなか複雑なものです。是非専門家のアドバイスをご活用ください。

 渋谷事務所 実森 順平