
法人契約の『ガン保険』の保険料の取り扱いについて
平成24年2月29日、国税庁はホームページ上で『がん保険(終身保障タイプ)』の保険料の税務上の取り扱いに関する改正案を発表すると同時に、改正等についての意見公募を開始しました。
今回は、その改正内容等をご説明します。
<改正等の経緯>
がん保険は、初めてがんと診断されたときや、がんによる入院死亡時などに、保険金や給付金が支払われる終身保険です。
満期保険金がないことなどから、会社を契約者及び保険金受取人、役員及び従業員を被保険者として加入した場合、一定の要件をクリアすれば、保険料の全額損金算入が認められています。
しかも、保険期間が終身ということで高い解約返戻金まで期待でき、その割合は80%~90%、商品によっては100%近くになるケースもあります。さらには、資金繰りの悪化の折には一定額の契約者貸付を受けることもできるということで、今回の改正等については、これらの実態に応じた取り扱いへ見直しを行うものです。
<がん保険税務に関する新通達(案)>
平成24年2月29日付けで国税庁のホームページにアップされた改正案は、簡単に言うと、これまでは一定要件をクリアすれば保険料の全額を損金算入が認められていたものを、「2分の1損金算入」にするというものです。
詳しい取り扱いにについて、国税庁ホームページをご参考にしてください。
<適用時期>
気になるのが、この新しい取り扱いがいつから適用になるかということです。
この改正案には、改正通達案の適用開始日について「平成○年○月○日以後の契約に係るがん保険の保険料について適用」とされており、これだけでは適用開始日は読み取れませんが、少なくとも適用開始日以降に締結された契約からの適用であることがわかります。
仮にこれが「○月○日以後に支払う保険料から」の場合、遡及適用ということも考えられますが、今回の改正案は契約ベースで切っているため、それはなさそうです。
過去にも、がん保険と同様、全額損金扱いだった逓増定期保険も、公募締め切りから1ヶ月後の見直しで、この時の適用関係も「2月28日以後に締結した契約から」とされ、遡及はしておりません。
逓増定期保険とはモノが違うため一概には言えませんが、新通達の適用開始日を注目しつつ、企業として今とるべき最善策を検討する必要があると思います。
ご相談やご不明な点は、コンパッソまでお気軽にお問い合わせください。
出典:国税庁HP、納税通信