
民泊と税務
最近ニュースなどでもよく目にする「民泊」。みなさまご存じですか?
民泊とは、正規の宿泊施設が不足し、一時的に一般住宅で旅行者を受け入れる場合に、宿泊施設に宿泊することを指す総称です。そして、この民泊は本年度より法規制が緩和されるなど、きたる東京オリンピックへ向けて旅行客の受け皿になるよう行政側も準備を進めています。これは現在、問題視されている空き屋問題の解決の糸口にもなるといわれております。
空き屋は、家屋の損傷の進みが激しく、治安悪化や火災の被害が頻発しています。また、空き屋付き土地を所有している方は、固定資産税の軽減措置が無くなることから、納付税額が6倍にも増加すると言われています。このような事情から空き屋を所有している方が、空き屋を上手に活用する方法が民泊になるのではと、民泊熱が増しているのです。
「あれ、でも民泊でなくてもシェアハウスって同じようなものではないの?」と思う方がいらっしゃるかもしれません。ここで、民泊とシェアハウスの違いを少々お話ししておきます。
シェアハウスとは、基本的に生活の拠点として他人同士でシェアして居住する家を指します。民泊は先ほどお話したように、旅行客の滞在を目的としています。また、シェアハウスは簡易宿泊所として行政の認可や、住人の避難経路の確保のために消防法や建築基準法に違反しない建物である必要があります。これが、なかなか厳しいハードルというのが現状です。その点、民泊は一般住宅を貸し出すため、旅館業法上の簡易宿所営業として行政の許可のみが必要であり、シェアハウスほど基準は厳しくありません。
ただ、一般住宅を貸し出すので、注意しなければならないのが「住宅ローン控除」です。住宅ローン控除は本人が居住している家屋でなければならないため、住宅ローン控除適用中の家屋を民泊として貸し出すのは法整備が整ってからにしたほうが良いでしょう(現時点では不明です)。
1カ所から給与を受けているサラリーマンが民泊を開始した場合、今までは年末調整で済んでいたけれど、「確定申告は必要か否か」。一番気になるところですよね。
給与は年末調整を行っていることを前提とした場合、「民泊にかかる収入-民泊にかかる費用=民泊にかかる所得が20万以下」の場合は、確定申告を行う必要はありません。民泊を始めた年度については、お部屋の改装等で収入の割に費用がかかりすぎて所得が20万円以下ということもありそうです。収入と費用の金額にご注意下さい。
逆に、「民泊にかかる収入-民泊にかかる費用=民泊にかかる所得が20万を超える」場合は確定申告を行う必要があります。この場合、所得は雑所得として申告します。一時所得には該当しませんので、申告時にはこちらもご注意下さい。
なお、サラリーマンであっても2カ所以上から給与を受けている方、すでに不動産業を行っている方、民泊を事業規模で行っている方等は税金の取扱いが上記とは異なりますので、弊社までお気軽にご相談下さい。
多くの問題を乗り越えて東京オリンピックを迎えたいですね。
出典:国税庁HP
Wikipedia