民事信託の活用

 今から8年前の、2007年9月に信託法が84年ぶりに大改正されました。この改正によって、信託制度の利用範囲が拡大しました。今回は信託のなかで、民事信託制度について紹介したいと思います。

 信託とは、受託者が、財産を有する者(委託者)から移転された財産(信託財産)を一定の目的に従って管理・運用・処分などをする制度のことです。信託財産やそれから生じる利益を得る者を、受益者といいます。今までは、信託会社を利用する「商事信託」のみでしたが、家族間で信託行為を行う「民事信託」の活用が検討されます。

 民事信託は、信託銀行の取り扱う信託商品や投資信託(商事信託)とは異なり、財産の管理や移転を目的に家族間で行うものです。
民事信託の利用例として、認知症になり意思能力が失われた場合には、その方の権利を保護するために一般的に「成年後見人」を選任することができます。成年後見人制度は、基本的にはその方の財産保護を目的とするため、財産を減少させる「生前贈与」やリスクを伴う「不動産投資」などは、基本的には行えません。

 民事信託によると、信頼のおける家族・親族に財産の管理・運用を委託することによって、万が一意思能力が失われてしまった場合にも、その方の安定した生活の確保と、相続対策を両立することが可能となります。

 信託の引き受けを営業として行おうとする場合には、免許が必要と規定しています。そこで、営利を目的とせず、特定の1人から1回だけ信託を受託しようとする場合には、信託業の免許は不要となり、財産の管理、財産の承継を目的とする信託、管理できない人に代わって管理して生活に必要な給付を確実にする信託、自己の判断能力の低下、死亡に備えて財産の管理・承継をする信託、高齢者・障害者等の財産管理・身上監護に配慮した生活支援のためなど、様々な活用方法が検討されます。

「民事信託」を使って委託者と受託者との間の信託契約をオーダーメイドで設計することにより、個人や中小企業等でも容易に活用ができることになります。ご不明な点がありましたら、コンパッソ税理士法人までお問い合わせください。

渋谷事務所  実森 順平

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。