
業務遂行上不可欠な必要経費
税務調査の現場では、事業経費について、経費として認められるかどうかが問題となるケースがあります。その判断基準は、業務遂行上必要な経費であるのかということです。
最近の裁決事例では、代表者が青年会議所の会議等に出席するための交通費等について、業務遂行上必要な経費ではなく。役員への給与に該当するというものがありました。
このケースでは、「請求人は青年会議所の会議等に出席するための交通費、宿泊費及び日当は、青年会議所の活動が経営者に対する教育費用、受注活動費用、新規事業開拓費用としての性質を有していることなどからすると、事業の遂行上必要な費用であり、代表者が負担すべきものでないことから、代表者に対する給与に該当しないと主張しました。
しかし審判所は、青年会議所の会議は特定の個人又は法人の利益を目的として行われるものでなく、青年会議所の定款に掲げられた公益的な目的及び事業の内容に則した活動が行われ、代表者はそのプログラムに沿った活動をしており、代表者が本件会議等に出席したことが、取引先の確保や代表者の経営者としての能力の向上、新規事業の開拓に寄与することとなったとしても、それは青年会議所の活動に付随する副次的な効果に過ぎず、本件旅費交通費は社会通念に照らし客観的にみて、業務遂行上必要な経費ではなく、代表者が個人的に負担すべきものであるから、代表者に対する給与に該当する」という判断をしました。
過去にも、司法書士業を営む者が支出したロータリークラブの入会金等については、そのロータリークラブの活動が司法書士としての業務を行う上で直接必要ではないとして、必要経費に該当しないという事例もありました。
青年会議所、ロータリークラブ、ライオンズクラブなど多くの企業経営者の方が加入しており、それは経営者としてのステータスでもあり、企業利益の追求だけではなく、社会貢献をしていくことは、ひいては企業価値を高めることになるという判断で参加されています。必要経費として当然認められるという認識があると思います。
このような裁決事例が出ているということで、今後の税務調査では同様のケースで指摘された場合は、事業の関連性、必要性が客観的に証明できるかがポイントになります。例えば、その会議において、参加者と情報交換をして、新規開拓できた実績があれば、それを目的として参加しているということで業務に必要な経費と主張することができます。
経費について業務に必要だという説明ができるようにしてください。その説明ができない場合は、経費として認められないということになります。経費を使う場合は、常に意識して、客観的な証拠を残すことをおすすめします。