棚卸一つとっても

 そもそも所得税や法人税という税金は、何に対してかけられているのでしょうか?
ご存知の方も多いと存じますが、ざっくり言って「儲け」に対してかけられていると言えます。個人が儲けたときには所得税を、法人が儲けたときには法人税を納めることになります。
 「儲け」は法律上の用語で「所得」と言い、「いくら儲けたのか?」を計算するためのルールがしっかりと決められています。個人の所得についても、法人の所得についても、このルールに則った正しい金額を計算しなくてはなりません。なお、所得計算をする上で、売上などの収入は益金、仕入などの費用は損金と呼ばれます。
 今回は、そのルールの一つ、棚卸に焦点をあてて「儲けの計算」を見てみたいと思います。
 単価いくらの商品がいくつ在庫として残っているのか?これを調べ上げるのが棚卸という業務です。例えば小売業を営む事業者は、決算には必ず棚卸を行っているはずです。目的はいくつもあり、とても重要な業務の一つです。
 仮に、次のような小売業を営む事業者がいた場合、儲けはいくらになるでしょうか。
①仕入70万円を現金で支払った
②売上100万円を現金で受取った
③現金30万円が、手元にった
感覚的には、30万円の儲けになりそうです。例えば税率が30%だと仮定すると、
30万円×30%=9万円を納めることになります。
 これだけだったら話はシンプルなのですが、「仕入」の全てが損金になるわけではありません。期末時点で売れ残っているもの、つまり期末在庫は、損金にならないのです。なぜならば、翌期以降に売ることが出来る、すなわち、資産性があるためです。別な言い方をすると、期中に売れた分に対応する仕入だけが、損金になることになります。
 逆に、期首の時点で残っていた在庫は、今期の損金になります。今期のうちに売れたものが損金になるのは分かりやすいかと思いますが、期末までずっと残ったものは、再び損金から除外されるのです。
 上記の例で期首在庫が10万円、期末在庫が20万だとすると、
益金-損金(仕入+期首在庫-期末在庫)=100万円-(70万円+10万円-20万円)=40万円の所得となります。
 在庫の金額を算定する方法は、先入れ先出し法、売価還元法など、様々な方法があり、適切な方法を選ぶ必要があります。このように、在庫の金額によって、儲けの金額が決まり、税金の金額も決まることになります。
 現実のルール(税法)は、とても複雑です。様々な状況に応じて、出来るだけ公平に課税をするべく定められているからです。AIが発達すればなくなると言われる税理士という職業ですが、現状、この複雑なルールに対応できるのも税の専門家、税理士です。

 コンパッソ税理士法人では、皆様の様々な税の悩みのご相談を受け付けております。

東京練馬事務所 戸崎悟史


関連記事

■平成30年税制改正 法人税編その3 ~進む税務の電子化~

■「加熱式たばこと紙巻きたばこ どっちを吸いますか?」

■平成30年度税制改正大綱 ―資産課税編その1 事業承継税制の特例の創設等―

■知って得する!加給年金

■日本政策金融公庫の融資のポイント