
株主優待について その1
いま、「株主優待制度」をとり入れる企業が増えており、現状では約1000社を超える企業が導入しています。お金を普通預金に預け入れても利息があまり望めないことや、少額投資非課税制度NISAの創設もあり、「株主優待制度」を意識した株式購入者も増えているのではないでしょうか。
では、「株主優待制度」を導入している企業において、その株主優待券等の支出は何にあたるのでしょうか? 配当金? 広告宣伝費? 交際費?
また、個人株主が株主優待券等を受け取った場合、それは所得になるのでしょうか? 今回より3回にわたり、「株主優待制度」をテーマにお話しします。
<株主優待制度とは?>
株主優待制度とは、企業が株主に対して行う特別なサービスのことです。株主に自社製品を無料で配ったり、自社サービスを安く受けられるクーポンを発行したりすることにより自社の製品やサービスを理解してもらうことを目的としています。
特典目当てに株式を買う個人投資家を増やす目的だけでなく、自社製品への理解と愛着を深めてもらうことで、長期保有の安定株主になってもらう狙いもあります。
<法人が株主優待券等を支出したとき>
株主優待券等の支出は何にあたるのか?という疑問ですが、その性質にもよるものの、過去に交際費に該当すると判断された判例がありますので、取扱いには注意が必要です。
<なぜ交際費なのか?>
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用をいいます。過去、株主優待制度について交際費に該当するか否かが争われた事件があり、その際交際費の3要件が判決の決め手となりました。その3要件とは、
1.支出の相手(得意先、仕入先、その他事業関係者かどうか)
2.支出の目的(今後の営業活動を円滑に行うことを目的としているかどうか)
3.行為の形態(接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為であるかどうか)
です。
次回、具体的な判例をもとにご説明していきます。
出典:税務弘報