有価証券の評価の税務上の取り扱いについて

 法人が期末時点で売買目的有価証券を保有している場合には、税務上、時価により評価損益の評価替えを行うこととされています。
また、売買目的外有価証券を保有している場合には原価法により評価した金額をもって、事業年度終了時における評価額とすることに
なっております。

 国内の株価は依然として下落した状態にあり、有価証券等について会計上、評価損の計上を検討している企業も多いと思われます。
売買目的以外の有価証券を保有する場合、会計上有価証券の評価損を計上しても、税務においては回収可能性によって損金算入の
判断
を行うため、実務上は判断が難しく、評価損について自己否認しているケースも多いと思われます。平成21年4月に国税庁より
「上場有価証券の評価損に関するQ&A」も公表され、実務において評価損を損金算入するうえで判断の基準になっております。

1.法人が事業年度終了の時において保有する有価証券の評価について

 平成12年度の税制改正において、売買目的有価証券、満期保有目的等有価証券(企業支配株式等含みます)、その他の有価証券に
選定しなければならないことになりました。

①売買目的有価証券を保有する場合 (法61の3①一、61の3②)

 その売買目的有価証券のその時における評価益・評価損の金額は、各事業年度の所得の計算上、損金の額又は益金の額に算入する
ことになります。翌事業年度において洗替処理を行うことになります。(令119の15①③)

②売買目的外有価証券を保有する場合(法61の3①二) 

 原価法により評価した金額をもって、事業年度終了の時における評価額となります。

2.売買目的有価証券以外の有価証券を保有する場合において、税務上評価損の損金算入が認められるケース

 『金融商品会計に関する実務指針』91項において、市場価額又は合理的に算定された価額のある有価証券につき個々の銘柄の有価
証券の時価取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には著しく下落したときに該当し、合理的な反証がない限り、時価が取得
原価まで回復する見込みがないと認められないため減損会計を行わなければならないとされております。
 しかし税務上は、売買目的外有価証券の評価損については期末時の帳簿価格のおおむね50%相当額を下回ること、近い将来その価額の
回復が見込まれないなどの、回収可能性によって損金算入の判断を行うことになります。平成21年4月に国税庁より「上場有価証券の
評価損に関するQ&A」
も公表されており、
 Q1 株価が50%相当額を下回る場合の株価の回収可能性の判断基準、
 Q2 監査法人のチェックを受けて継続的に使用される形式的な判断基準、
 Q3 株価の回復可能性の判断の時期、
 Q4 株価の回復可能性の判断基準に該当した場合の評価損否認金の取扱
などが挙げられており実務の判断の参考になっております。

注意すべき点としては、
 ・売買目的か否かに関わらず適用されます。
 ・法人の株主等や法人の株主等の親族などが、その法人の発行済株式等の20%以上に相当する株式等(企業支配株式)に該当するもの
  については評価損の計上ができません。
 ・会計上評価損を計上(減損処理)している場合に限られます。
 また、上場有価証券以外の有価証券を保有している場合にも、上場有価証券等の価額が著しく低下したことの判断について準用することが
できます。

関係法令)法法33-1、33-2 法基通9-1-7、9-1-11

渋谷事務所 瀧本 良枝

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。