月次決算と控除対象外消費税

 決算において正確な会計及び税務の処理を行うのは当然のこととして、期中でも1ヶ月単位で、なるべく決算と同じような精度で月次決算を行っている会社も多いでしょう。自社の現状を定量的に正確に把握し、設備投資の判断、借入実行の有無や人員採用などの適時な経営意思決定のために月次決算は欠かせないものです。
 
 月次決算においても年次の決算と同じような正確な数値を求めるためには、収益及び費用の見越・繰延など発生主義等の徹底棚卸資産の計上減価償却費の概算計上引当金の見積計上などを行う必要があります。
 消費税との関連では、税込経理の場合に消費税の概算額を租税公課として計上することも必要です。そして、税抜経理で控除対象外消費税がある場合には、特に注意が必要です。
 税抜経理方式を採用している場合、その課税期間中の課税売上高が5億円超又は課税売上割合が95%未満であるときは、その課税期間の仕入控除税額は、課税仕入れ等に対する消費税額の全額ではなく、課税売上げに対応する部分の金額となり、控除対象外消費税額等(仕入税額控除ができない仮払消費税等の額)が生じることになります。
 
 例えば、以下の事例を見てみましょう。
 
例)課税方式:本則課税、一括比例配分方式(課税売上割合55%)
試算表:税引前利益 2,500千円、仮受消費税 8,000千円、仮払消費税 6,000千円
 
全額控除の場合(控除対象外消費税を考慮しない場合)
→消費税額 2,000千円(8,000千円-6,000千円)
税引前利益 2,500千円(影響なし)
 
全額控除できず、上記課税方式の場合
→消費税額 4,700千円(8,000千円-(6,000千円×55%))
税引前利益 △200千円(2,500千円-※2,700千円)
※控除できない仮払消費税2,700千円(=6,000千円×(100%-55%))を租税公課として差額を追加処理
 
いかがでしょうか?
 上記の事例だと、黒字決算のはずが赤字に…消費税の納税額が倍以上に…なんてことも起こり得ます。控除対象外消費税の存在を失念してしまい、仮受消費税から仮払消費税を差引くだけの簡便な概算計算だけで損益と税額の見込計算を行ってしまいますと、決算・申告ギリギリの時期に正確な計算結果との差額に愕然としてしまうことでしょう。特に、土地販売を扱う住宅建築業者などでは取引金額も相対的に大きく、土地と建物の売上げの割合も年によって異なるため、控除対象外消費税を見込んで数値の予測をしておかないと資金繰り等で大変なことになってしまいます。上記の事例では一括比例配分方式を前提としていますが、個別対応方式を適用した方が有利な場合には、課税仕入を3つに区分して計算するなど計算方式はより複雑になります。決算でバタバタすることのないよう、月次決算の段階から正確な損益及び納税予測を行い、経営判断に活かしたいものです。
 
 月次決算に関心があってもっと検討したい、納税予測の精度をさらに高めたい等ございましたら、お気軽にコンパッソ税理士法人までご相談下さい。

国税庁HP参照:https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/6921.htm

千葉流山事務所 関口

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