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景気は悪い?国税庁「会社標本調査結果」から見る企業の実態

一般の方はほとんどなじみがないかもしれませんが、国税庁のHPでは、各種税法の解説やパンフレットなど、様々な情報が公開されています。仕事ですから、よく内容をチェックして、最新の動向に注意を払っています。あまり知られていませんが、国税庁では申告書等から数字を集計して、各種の統計を発表しています。その中から「会社標本調査結果」をご紹介します。

この調査は法人企業の資本金の多寡、業種ごとに、その実態を明らかにし、将来の税収見積もりの基礎資料とすることを目的としています。「会社標本調査結果」は膨大なページ数で、すべてをご紹介できませんが、いくつか主要な指標をみて景気の実態を考えてみたいと思います。最新の情報が平成26年版で、平成16年から過去12年の推移が確認できます(実際の数字は出典元 国税庁HPでご確認ください)。

黒字法人と赤字法人
統計では、平成26年において、法人数は2,605,774社、うち黒字法人は876,402社(33.6%)赤字法人は1,729,372社(66.4%)となっています。過去12年の内、平成20年から平成24年までの5年間は赤字法人の割合が、20年(71.5%)21年(72.8%)22年(72.8%)23年(72.3%)24年(70.3%)となっています。
他の年が概ね67%前後であることを見ますと、震災の影響など、業績が悪かったものと思われます。
平成26年の66.4%は過去12年中に2番目に低い数字で、26年は業績が良かったようです。節税対策が浸透しているのか?と巷間で言われている通り、黒字法人は思いのほか少ないことが分かります。

所得の状況と減価償却費
次に、黒字法人の所得金額の合計推移を見ます。
平成26年の所得合計額は539,311億円で過去12年中、最高額になっています。平成20年から23年までは350,000億円前後で推移しており、上記「黒字法人と赤字法人」と合わせて、業績が良くなかったことが見て取れます。
減価償却費ですが、平成26年の損金算入額は366,115億円でした。平成20年の441,912億円が直近のピークで、以降平成25年まで減少し続けていました。減価償却費は設備投資の原資となるものですから、所得金額と同じくらい重要な指標です。

ほんのさわりだけでしたが如何でしょうか?実感なき景気回復などと言われていますが、このような指標からも景気動向を探ることができるかもしれません。ご興味のある方は、ぜひ原典をご確認ください。

出典:国税庁HP

渋谷事務所 実森順平

  

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