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映画製作費用の会計上及び税務上の処理について

今回は、映画の製作を行うための法人を設立した場合の会計・税務上の処理をご紹介したいと思います。

1.映画の企画のための費用、映画の製作のために要する俳優やスタッフ等の人件費、撮影等に要する費用、そして、宣伝や配給等に要する費用については、会計上及び税務上、どのように処理すべきでしょうか。

まず、映画の企画から完成及び配給に至るまでの費用について検討しますと、以下のとおりです。
映画の製作費に係る会計基準等は特に見受けられませんが、映画が完成した暁には、配給・上映収入等を稼得する資産となることを考えますと、映画の製作のために直接要する費用については、収益に係る売上原価その他これらに準ずる原価(法法22(3)一)として、原価処理を要するものと考えられます。

具体的には、映画の製作が開始された以降に支出する俳優やスタッフ等の人件費並びに撮影等に要する費用については、製作中においては、「映画製作支出金」や「未完成映画支出金」等の仕掛勘定において管理する必要があります。そして、映画が完成した場合には、この「映画製作支出金」等の仕掛勘定から「完成映画」等の勘定に振り替えることになります。 

この「完成映画」(具体的には映画フィルム原版等)については、耐用年数省令別表第一の器具及び備品中の「11 前掲のもの以外のもの」の細目「映画フィルム」(耐用年数2年)として減価償却することになります。
ただし、その映画が2以上の常設館において順次上映されるものについては、所轄国税局長の認定を受けて、特別な償却率(10か月)で償却することが認められます(法令50、法規12一、耐用年数通達4-2-1(4)、同付表6)。
また、製作開始に至る前段階における映画の企画等に要する費用については、未だ原価を構成する費用ではないものと解されることから、期間費用として支出時の損金の額に算入するのが相当と考えられます。
さらに、映画の宣伝や配給に関して支出する費用については、販売費として支出時の損金の額に算入するのが相当と考えられます。

2.映画の著作物に係る著作権は映画製作者に帰属する場合の、著作権の取得価額と製作費用との関連について

映画の著作物の著作者は、原則として、プロデューサー、監督、撮影監督等の映画の著作物の「全体的な形成に創作的に寄与した者」とされます(著作権法16)が、法人の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その法人等とされます(著作権法15(1))。
また、映画に係る著作権は、著作者ではなく、映画製作者に帰属することとされています(著作権法29)から、いずれにしても、映画製作会社が製作する映画の著作権は、その映画製作会社に帰属することになります。

しかしながら、映画製作によってその映画の著作権を自己創設的に取得するとしても、その自己創設による著作権が、会計上において認識されることはないものと考えられます。すなわち、特許権や商標権等のように公的な登録を要する権利については、その登録料が権利の取得価額を構成することになりますが、著作権は、そのような登録の制度がなく、特段の手続を経ずして成立しますし、また、映画の製作費用は、上記1のように映画フィルムという減価償却資産の取得価額を構成することから、自己創設の著作権の取得価額を構成すべき支出等が生じることはないものと考えられます。

なお、映画に係る著作権が会計上認識されるケースとしては、映画の製作者等の著作権を有する者から著作権を譲り受けた場合等が考えられますが、その場合の譲受けの対価については無形固定資産たる著作権の取得価額を構成することになり、減価償却資産として特掲されていないことから、非償却資産として取り扱われます。

以上、映画製作費用の会計上及び税務上の処理について記載させて頂きました。ご不明な点やご相談事項がございましたらコンパッソ税理士法人までお気軽にお問い合わせください。

出典:TKC税研データベース

千葉流山事務所 北村昌樹

 

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