
日本・世界のおもしろ税金
アメリカでは肥満症が大きな社会問題となっています。そのため、米医学研究所の最近の報告書の中には、加糖飲料への課税を検討するべきであるとの意見があったという記事を最近目にしました。
本当に課税が実現すれば、加糖飲料税というおもしろい税金が生まれることになるわけですが、これまでに日本や世界ではおもしろい税金がいくつか誕生しています。今回は、そんな日本・世界のおもしろ税金を紹介したいと思います。
<犬税>
1687年に「生類憐れみの令」が出され、動物、特に犬を大事にするように命じられました。その結果、野良犬が増えた為、広大な敷地に犬小屋を建てて収容しました。この費用を賄うため徴収されたのが犬税です。
犬税は法定外税(※)で、昭和30年には全国2686の自治体で導入されていましたが、昭和57年3月に長野県の四賀村を最後にこの税はなくなりました。当時、同村では4月1日現在で生後3ヶ月以上の犬を飼っている場合、1頭につき、年300円の税金がかかりました。
※地方税法で定められている住民税、事業税、固定資産税などの各税目以外に、地方自治体が条例に基づいて導入する独自税のこと。
<ワンルームマンション税>
東京都豊島区で2004年から導入されている法定外税で、正式名称は、「狭小住戸集合住宅税」です。1住戸の専用面積が30㎡未満の集合住宅を9戸以上新築・増築する建築主に対し、1戸につき50万円が課税されます。
<独身税>
少子化対策としてブルガリアで1968年~1989年まで導入された税金です。独身者のみ収入の5~10%を税金として徴収するものでした。21年間に渡り徴収された独身税ですが、この間のブルガリアでの出生率は2.18から1.86(1970年~1989年)に留まったことからみても、成果はなかったと言えるでしょう。
<ひげ税>
ロシアのピョートル大帝は、ひげに課税をしました。ひげ税の始まりは1704年頃のことですが、「ひげは人間を神に似せるもの」として当時のロシア人は好んでひげをはやしていました。しかし、ピョートル大帝は、ひげはロシア人の悪習だとしてひげを切り取らせる政策をとりました。
<渋滞税>
2003年にロンドン市内の渋滞緩和と公共交通機関の利用促進のために導入されました。特定の時間帯にロンドン中心部の特定のエリア内に車を乗り入れる際に課金されるシステムで、監視カメラにより車のナンバープレートを識別し税金を取ります。ただし、二輪車や、電気自動車、緊急車両、バス・タクシーなどは免除されます。
<ポテトチップス税>
国民の肥満防止を目的に、スナック菓子や清涼飲料水など塩分や糖分が特に高い食品に課税する税金です。2011年にハンガリーで導入されました。
以上、おもしろ税金をいくつかご紹介しました。
こうしてみると、時代時代で様々な税システムが作られているのがわかります。財政難と言われる日本では、今後、おもしろ税金が誕生する可能性は高いのかもしれません。
出典:エヌピー通信社「税理士新聞」