
新しい会計ルール 「中小会計要領」
経営力アップ、スムーズな資金調達を目指すために、中小企業でも簡単に利用できる会計ルールが作られました。今回はその新会計ルールをご紹介します。
<「中小会計要領」とは>
中小企業の実態に即して作られた新たな会計ルールです。対象としているのは、次のような中小企業です。
・経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制を持っていない
・会計情報の開示を求められる範囲が、取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されている
・主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い
中小企業向け会計ルールは、今回公表された「中小会計要領」の他に「中小企業の会計に関する指針」があり、どちらも参照することができますが、「中小会計要領」の方がより簡便な会計ルールとなっています。
<代表的な会計処理>
●貸倒引当金
債権者の資産状況、支払能力等からみて回収不能のおそれのある債権については、その回収不能見込額を貸倒引当金として計上します。
法人税法上の中小法人に認められている法定繰入率で算定する方法も使用できます。
●有価証券
有価証券は、原則として、取得原価で計上します。(売買目的有価証券は時価計上)
時価が取得原価より著しく下落したときは、回復の見込があると判断した場合を除き、評価損を計上します。
●棚卸資産
棚卸資産は原則として取得原価で計上します。棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法によります。
棚卸資産の評価方法は個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法のほか、最終仕入原価法も利用できます。時価が取得原価より著しく下落したときは、回復の見込があると判断した場合を除き、評価損を計上します。
●引当金
将来の特定の費用又は損失であること、発生が当期以前の事象に起因すること、発生の可能性が高いこと、金額を合理的に見積もることができることに該当するものは引当金として、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として計上し、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部に計上します。具体的には、賞与引当金、退職給付引当金等があります。
<活用するメリット>
1.決算書の信頼性が向上します。
2.その結果、自社の財務状況が明らかになり、投資判断、経営改善等を的確にできるようになります。
3.金融機関、取引先等から信頼され、スムーズな資金調達や取引先拡大につながります。
※日本政策金融公庫では、「中小会計要領」を適用している企業に対して、優遇金利を実施しています。
「中小会計要領」に基づき日々の記帳を行うことにより、決算書の信頼性が向上し、資金調達、取引先拡大につながります。投資判断や経営改善を的確に行うことができます。会社の成長発展のために、是非取り入れていただきたい会計ルールです。
上記の内容で何かご不明点等ございましたら、コンパッソまでお気軽にお問合せ下さい。
出典:中小企業庁「中小会計要領」の手引き