
改正消費税の実務対策
消費税の95%ルールの改正が行われることは、4月23日のブログで紹介しました。これにより個別対応方式の用途区分の検討が重要になってきます。
今回から3回シリーズで、用途区分の主な検討事例を紹介したいと思います。
第1回は、不動産業者が店舗と居住用住宅兼用のビルを取得したケースの事例を取り上げます。
<ケース1>
5階建てのビルを取得し、賃貸するケースを今回は想定します。
1階部分が貸店舗
2階~4階部分が貸事務所
5階部分が居住用の貸室となっています。
個別対応方式を適用する場合で、仕入れ税額控除額の計算をする際には、建物の取得費はどのような方法で用途区分をすればい
いでしょうか。
今回のケースでは、課税売上は1階から4階までの部分である貸店舗と貸事務所から発生する家賃が該当し、それ以外の5階部分の居住用の家賃が非課税売上となります。よって原則では、建物の取得費全てを「共通して要するもの」に区分することとなります。これ以外に課税仕入れのうち「共通して要するもの」については、床面積割合等の合理的な基準により「課税売上にのみ要するもの」と「非課税売上にのみ要するもの」に区分することが認められています。
この物件ではどちらが有利かを試算して、選択することが出来ます。
課税売上割合で区分するのか、床面積割合で按分するかを比較することが可能です。
また面積割合以外の合理的な基準も検討する余地が残されています。安易に全額を「共通して要するもの」に区分するのではなく、ケース毎に有利な合理的な基準を当てはめることが求められます。
次回はケース2をお送りします。
出典:消費税基本通達11-2-19
川崎事務所 橘智昭