
年金にかかる所得税
高齢者の暮らしを支える年金も、一定額以上受け取ると所得税がかかります。
日本年金機構から毎年届く「扶養親族等申告書」を提出すれば、天引きされる税額を圧縮できます。
「扶養親族等申告書」の対象となる年金受給者は、老齢年金の所得税が発生する水準、すなわち、65歳以上は年金が158万円以上、64歳以下は年金が108万円以上です。8~9月頃対象者に用紙が送られてきます。扶養する親族がいない人も提出が必要です。記入して提出すれば、基礎控除、公的年金控除などで課税対象は小さく所得税は5%と余分な税額を引かれずに済みます。提出しない場合は、各種控除が行われないため、課税対象が大きく所得税は10%と高い税額となり手取り額が減少します。修正するには確定申告が必要です。
日本年金機構の発表では、申告書を未提出のまま高い税額を源泉徴収され続けている人が、2018年4月現在72万8000人もいるそうで、書き方がわかりにくい書類のため提出できなかった人も多いようです。記入に不備があるなどして返送されたまま未提出になっている人も18万3000人もいるので、様式をわかりやすく見直した申告書をあらためて郵送したようです。所得税が余分に天引きされている人は、申告書を提出し直せば、次回の年金支給時に税額が修正され、払いすぎた税も還付されるようです。ただ、配偶者が扶養の対象になるかどうかチェックする必要があるなど、記入上の難しさは、以前のものと大きく変わらないようです。
別紙の記入方法の説明を読んでもわからない場合は、最寄りの年金事務所に相談に行くことをお勧めします。本人確認書類のほか、家族や代理人が行く場合には委任状も必要になるので、二度手間にならないよう、事前に必要書類を問い合わせておきましょう。単身者や高齢夫婦だけでは記入に迷う場合もあるので、家族など身近な人も気にかけてほしいものです。「扶養親族等申告書」はもっと簡単に誰にでもわかりやすく記入できるようにしてもらいたいですね。
出典:国税庁HP「公的年金等の受給者の扶養親族等の申告」
千葉旭事務所 渡邉 武男