年末調整について考える

厳しい夏が過ぎ、秋風が心地よく感じはじめてからというもの年末まではあっと言う間に時間が早く過ぎていく感覚になるのは私だけでしょうか。

生命保険料等の控除証明書が郵送されてくると、今年も年末調整の季節がやって来たなと感じられる方も多いと思います。
給与所得者(以下サラリーマンと称します)は、毎月の給与から所得税を差し引かれた手取額を会社から支給されます。これを源泉徴収制度といいます。
会社は、源泉徴収義務者として、徴収した源泉所得税を国に納めています。そして年末が近づいてくると一定の書類を会社へ提出します。会社はこれらの書類に基づき、一年間の所得税額を確定する作業を行います。これが年末調整です。
給料から差し引かれた一年間の源泉所得税と、年末調整よって確定した一年間の所得税の過不足額を精算します。このように、源泉徴収制度年末調整は、利便性に富み、効率も良いように見えます。

しかし、サラリーマンは、自ら税額計算をすることなく、会社(源泉徴収義務者)を通して間接的に国への納税義務を果たしてる、というのが現状です。
本来、個人の所得税は申告納税が原則です。確定申告をしなければならない場合や、確定申告をすることで所得税が還付される場合など、サラリーマンの方で確定申告をする人もおられるでしょう。しかし、大部分のサラリーマンの方々は年末調整によって納税者としての意識が薄れがちになってしまってはいないでしょうか。
また、会社へ提出する扶養控除申告書等には個人情報を開示しなければなりません。配偶者の有無、扶養控除対象者、本人あるいは扶養控除対象者の障害者の区分、寡婦、寡夫の適用など、直接国に申告するのではなく、会社に報告しなければならないという精神的な負担についても考える必要があると思います。

一方、年末調整事務を実施する会社も、一時に手続きが集中し、過剰な事務負担を負う事が常態化しているのも問題ではないでしょうか。
一般家庭へのパソコン普及率は増加傾向にありますが、平成16年から導入された電子申告(e-Tax)は、まだまだ一般の納税者にとっては馴染みが薄い状況と言えます。これは、年末調整によって、確定申告を要しない人が多い事を裏づける一つの要因なのかもしれません。

自ら確定申告書を作成することは、本来の所得税法に定める申告納税を実現し、所得税に対する理解を深めると同時に、国に対して直接的な法的関係を有することで、納税意識を高めることにつながると思います。
利便性を重視した源泉徴収制度年末調整について皆様はどうお考えになりますか?

川崎事務所 小高法之

 

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