平成23年度税制改正大綱~Part2~

 12月20日付のTopicsで平成23年度税制改正大綱の要点をご紹介させて頂きましたが、今回のTopicsでは、環境税の導入やNPO法人・公益法人等に対する寄附の拡充等の改正事項について詳細をご紹介したいと思います。
 
1.「地球温暖化対策のための税」の導入

(1)目的

 地球温暖化の原因となる温室効果ガスの約9割を占めるエネルギー起源CO2の排出を抑制する観点から導入が決定されました。

(2)内容 

 全化石燃料を課税ベースとする石油石炭税にCO2排出量に応じた税率を上乗せ

 上乗せする税率 : 原油及び石油製品760円/kl(現行2,040円/kl)
          ガス状炭化水素780円/t(現行1,080円/t)
          石炭670円/t(現行700円/t)

 なお、施行日は、平成23年10月1日となっております。平成27年3月31日までの間は、所要の経過置を講じることとなります。

2. NPO法人・公益法人等に対する寄附の拡充

(1)目的
 「新しい公共」によって支え合う社会の実現に向けて、特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)をはじめとする、市民が参画する様々な「新しい公共」の担い手を支える環境を税制面から支援するために、税額控除制度等の税制等の措置が講じられています。

(2)内容
 認定NPO法人への寄附について、所得税において税額控除制度(控除率40%:個人住民税と合わせて50%まで)を導入することになりました。公益社団・財団法人、学校法人、社会福祉法人又は更生保護法人への寄附についても同様の税額控除制度が導入されます。いずれも、平成23年分以後の所得税から適用されます。
 また、認定NPO法人制度について、PST(パブリック・サポート・テスト)要件に寄附者の絶対数(寄附金額3,000円以上の寄附者年平均100人以上)で判定する方式を導入するなど、認定要件を緩和すること等が織り込まれました。新たな認定制度(地方団体による認定、仮認定制度の導入等)が新認定法に基づき適切に整備された場合には、所要の税制上の措置を講じることとされております。

3. 税務調査の諸手続きの明確化

(1)目的
 調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高めるため、また、課税庁の納税者に対する説明責任を強化するため等の観点から、諸手続の明確化・法制化が図られております。

(2)内容
 税務調査を行う場合には、原則として、あらかじめ事前通知を行いますが、調査の相手方となる納税者等に関する情報、その納税者等が営む事業内容に関する情報その他税務当局の保有する情報に鑑み、違法な行為を容易にしたり、また、その発見を困難にするおそれがあると税務署長等が認める場合等には、事前通知を行わないこととされました。また、通知の対象者・内容・方法等についても明確化されております。
 なお、税務調査が終了した際の手続きの詳細や、納税者等から提出された物件の預かり・返還等に関する規定についても同様に明確化されております。
 これらの改正は、平成24年1月1日以後に新たに納税者に対して開始する調査及び当該調査に係る反面調査について適用されます。 

4. 更正の請求期間の延長

(1)目的
 法定外の手続により非公式に課税庁に対して税額の減額変更を求める「嘆願」という実務慣行を解消するとともに、納税者の救済と課税の適正化とのバランス、制度の簡素化を図る観点から、納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」の期間を延長することとなりました。 

(2)内容
 納税者が「更正の請求」を行うことができる期間(現行1年)を5年に延長します。なお、これに併せて、課税庁が増額更正できる期間(現行3年のもの)も5年に延長し、基本的に、納税者による修正申告・更正の請求、課税庁による増額更正・減額更正の期間を全て一致させることになりました。これらの改正は、平成23年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用されます。
 また、理由の明確化を図るため、納税者による「事実を証明する書類」の添付が義務化されること(平成23年6月1日以後に行う更正の請求について適用)や、当初申告要件がある措置について、インセンティブ措置(例:設備投資に係る特別償却等)及び利用するかしないかで有利にも不利にもなる操作可能な措置(例:各種引当金等)のいずれにも該当しない措置(純損失の繰越控除・会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入・所得税額控除・配偶者に対する相続税の軽減等)について「当初申告要件」を廃止(平成23年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用)することも決定致しました。

 所得課税や資産課税等の主たる税制基盤に並行して、「環境」の変化、「新しい公共」の推進、「円滑かつ効果的」な調査の実施等、様々な要請に基づいて税制は変化し続けております。今後は、歳出の増大が見込まれる社会保障についての財源確保を目的として、消費税を含む税制全体につき抜本的な改革が行われることが想定されますので、引き続き動向を注視していきたいと思います。

参考文献:「平成23 年度税制改正大綱(平成22 年12 月16 日)」

                   

渋谷事務所 奈良 雄一

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