平成30年税制改正 法人税編その1 ~法人課税 所得拡大促進税制の改組~

 所得拡大促進税制とは青色申告書を提出する法人が、国内雇用者に対して支給する給与等を一定以上増加した場合等に、その増加額の一定割合に相当する金額を法人税額から控除できる制度です。
今年度改正により、賃上げ及び人材投資、生産性向上に積極的に取り組む企業に対する当該税制措置が強化されています。

1.中小企業者等以外(大企業)における所得拡大促進税制

(1)適用要件の見直し:
①「賃上げに関する要件」が簡素化され、適用年度の継続雇用者等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額×103%
②設備投資に関する要件が新たに追加され、適用年度の国内設備投資額≧適用年度の減価償却費総額×90%
③教育訓練費が増加した企業については、税額控除率が上乗せされます。

(2)控除税額:
(適用年度の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)×15%(注1)

(注1) 教育訓練費(※1)の額≧比較教育訓練費(※2)の額×120%の場合・・・20%
(注2) 控除税額は適用年度の法人税額の20%を上限とします。

(※1)
「教育訓練費」とは、国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるための費用であり、以下の項目が該当します。

イ:その法人が教育訓練等(教育、訓練、研修、講習その他これらに類するものをいいます。)を自ら行う場合の外部講師謝金、外部施設等使用料等の費用
ロ:他の者に委託して教育訓練等を行わせる場合のその委託費
ハ:他の者が行う教育訓練等に参加させる場合のその参加に要する費用

(※2)
「比較教育訓練費」とは、前期及び前々期の教育訓練費の額の年平均額をいいます。

2.中小企業者等(適用除外事業者(※3)を除く)の所得拡大促進税制

(1)適用要件の見直し:
「賃上げに関する要件」が簡素化されます(1で追加された「設備投資に関する要件」はなし)。適用年度の継続雇用者給与等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額×101.5%
教育訓練費が増加した企業については、税額控除率が上乗せされます。

(2)控除税額:
(適用年度の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額)×15%(注3)

(注3)下記の①及び②の要件を満たす場合・・・25%

①適用年度の継続雇用者給与等支給額≧前期の継続雇用者給与等支給額×102.5%
②以下のいずれかを満たす
イ:適用年度の教育訓練費(※1)の額≧前期の教育訓練費の額×110%
ロ:適用年度終了の日までに、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その計画に従って、経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと

(注4)
控除税額の上限(適用年度の法人税額の20%)は改正なし。

(※3)
「適用除外事業者」とは、事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度(基準年度)の所得の年平均額が15億円を超える法人をいいます。

3.適用時期
 平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する事業年度について適用されます。
 これまでの実務上、成長企業には非常に有効な制度であると感じてきました。今回の改正項目の目玉の1つは、いわゆるアメとムチの政策、「賃上げ・生産性向上のための税制」の創設です。賃上げや設備投資に積極的な企業に対しては、一定の税額控除等を認める一方で消極的な企業に対しては適用できないこととなっています。
ご不明な点等ございましたら、コンパッソ税理士法人までお問い合わせください。

参考文献(税務通信、経済産業省HP)

                                           高田馬場事務所 寺門洋子

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