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平成26年度税制改正大綱 主なポイント その1

12月12日、自民・公明両党より平成26年度税制改正大綱が公表されました。デフレ脱却及び日本経済再生を目指す中、民間投資を活性化するための改正や消費税引き上げに伴う改正が多く盛り込まれております。
今回から2回に分けて、法人向けと主に一般の個人向けの税制改正大綱のポイントをご案内したいと思います。第1回目の今回は、法人向けの税制改正の内容をご紹介します。

復興特別法人税の1年前倒し廃止
復興特別法人税の課税の対象となる事業年度を平成24年4月1日~平成27年3月31日までを、平成26年3月31日までに変更します。また、復興特別所得税を法人税額から控除できる仕組みに改めます。

生産性向上設備投資促進税制の創設
産業競争力強化法の施行日~平成29年3月31日までの間に、生産性向上設備等に該当する機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、構築物及びソフトウェアのうち、一定の規模以上のものを取得した場合には、その取得価額の50%(建物及び構築物については25%)の特別償却とその取得価額の4%(建物及び構築物については2%)の税額控除との選択適用できるようになります。
なお、平成28年3月31日までの間に取得等したものについては、その普通償却限度額との合計でその取得価額までの特別償却(即時償却)とその取得価額の5%(建物及び構築物については3%)の税額控除との選択適用ができます(所得税も同様)。

一定の規模以上のものとは
   ・機械装置の場合は1台160万円以上のもの
   ・工具及び器具備品の場合は1台120万円以上のもの(ただし、1台30万円以上で、かつ1事業年度における取得価額の合計が
    120万円以上のものも含む)
   ・建物、建物附属設備及び構築物の場合は120万円以上のもの(ただし、建物附属設備については1つ60万円以上で、かつ、
    1事業年度における取得価額の合計が120万円以上のものも含む)
   ・ソフトウェアの場合は1つ70万円以上のもの(ただし、1つ30万円以上で、かつ、1事業年度における取得価額の合計が
    70万円以上のものも含む)

所得の拡大
雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除について、次の要件の見直しがあり、その適用期限が2年間延長されました(所得税も同様)。

雇用者給与等支給増加割合の要件が現行の5%以上から、
  1.平成27年4月1日前に開始する適用年度は2%以上
  2.平成27年4月1日~平成28年3月31日までの間に開始する適用年度3%以上
  3.平成28年4月1日~平成30年3月31日までの間に開始する適用年度5%以上
に変更されました。

平均給与等支給額に係る要件について、「継続雇用者に対する給与等」に変更され、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回ること(現行以上であること)に変更となります。

交際費等の損金不算入制度の見直し
交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の額の50%を損金の額に算入することに、平成26年4月より変更となります。
中小法人に係る損金算入の特例(平成25年4月1日以後開始事業年度の場合は800万円まで全額損金算入)については、上記の特例と選択した上、その適用期限を2年間延長します。

消費税の簡易課税制度のみなし仕入れ率の見直し
  1.金融業及び保険業は、第5種事業(みなし仕入れ率50%)となります(現行60%)。
  2.不動産業は、第6種事業(みなし仕入れ率40%)となります(現行50%)。

上記の改正は平成27年4月1日以後に開始する課税期間からとなります。

消費税の課税売上割合計算方法の改正
金銭債権の譲渡について、その譲渡に係る対価の額の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に算入することに変更になります。この改正は平成26年4月1日以後に行われる金銭債権の譲渡について適用されます。

国際課税原則の見直し
外国法人に対する課税原則について、いわゆる「総合主義」に基づく従来の国内法を、2010年の改訂後のOECDモデル租税条約に沿った「帰属主義」に見直します。そのため外国法人がわが国に有する恒久的施設(PE)に帰せられる所得(PE帰属所得)を従来の「国内事業所得」に代えて、「国内源泉所得」の一つとして位置づけることになります。
上記の改正は、平成28年4月1日以後に開始する事業年度の法人税及び平成29年分以後の所得税について適用されることになります。

医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の創設
1.相続税
持分の定めのある医療法人の持分を相続又は遺贈により取得した場合において、その医療法人が相続税の申告期限において認定医療法人(仮称)であるときは、担保の提供を条件に、その相続人が納付すべき相続税額のうち、その認定医療法人の持ち分に係る課税価格に対応する相続税額については、移行計画(仮称)の期間満了までその納税を猶予し、移行期間内にその相続人が持分の全てを放棄した場合には、猶予税額を免除することになります。

2.贈与税
持分の定めのある医療法人の出資者が持分を放棄したことにより、他の出資者の持分の価額が増加することについて、その増加額(経済的利益)に相当する額の贈与を受けたものとみなして、その他の出資者に贈与税が課される場合において、その医療法人が認定医療法人(仮称)であるときは、担保の提供を条件に、その他の出資者が納付すべき贈与税額のうち、その経済的利益に係る課税価格に対応する贈与税額については、移行計画(仮称)の期間満了までその納税を猶予し、移行期間内にその他の出資者が持分の全てを放棄した場合には、猶予税額を免除することになります。

社会保険診療報酬の所得計算の特例
社会保険診療の範囲に、難病の患者に対する医療等に関する法律(仮称)の規定による医療及び改正後の児童福祉法の規定による医療を加えることになります。

地方法人課税の偏在是正
地方税制については、消費税率8%段階において、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るために、法人住民税法人税割の税率を引き下げ、その引き下げ分に相当する課税標準を法人税額とする地方法人税(仮称)を創設して、その税収全額を交付税及び譲与税配付金特別会計に直接繰り入れ、地方交付税の原資とします。
また、消費税率10%段階においては、地方法人特別税・譲与税を廃止し、他の偏在是正措置を講じるように検討を行います。

今回の改正案の目玉としては、交際費の50%損金算入が上げられると思います。狙いとしては、消費税増税に伴う、消費の低下を抑制するための策として期待されています。
次回は、一般個人向けの税制改正大綱主なポイントその2をご紹介します。

出典:平成26年度税制改正大綱 平成25年12月12日自民党・公明党

川崎事務所 鈴木伸明

 

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