
平成22年分 確定申告 ~雑損控除~
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。
雑損控除の対象になる資産の要件
損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること。
(1)資産の所有者が次のいずれかであること。
イ 納税者
ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者。
(2)生活に通常必要な住宅、家具、衣類などの資産であること。
(事業用の資産や別荘、書画、骨とう、貴金属等で1個又は1組の価額が30万円を超えるものなどは当てはまりません。)
損害の原因
次のいずれかの場合に限られます。
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難
(5) 横領
なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
以上の様な要件や原因で雑損控除を受けることが出来ますが、ここでは雑損控除について何点か具体例をあげてみます。
Q.居住の用に供していた家屋がシロアリによって被害を受けたため修繕を行ったが、この修繕に要した支出は雑損控除の対象となるか?
A.シロアリによる被害は、所得税法に規定する「害虫……その他の生物による異常な災害」に該当し、修繕に要した費用及びそのシロアリを駆除するための費用は雑損控除の対象となります。
Q.近所の家にシロアリが発生したということを聞いたので、その予防のためシロアリ駆除を業としている会社に依頼して薬剤散布をしてもらい、30万円を支払った。この費用は、雑損控除の対象となるか?
A.雑損控除の対象となる金額は、資産そのものについて現実に生じた損失の金額と災害に関連してやむを得ない支出をした場合の支出金額とであり、将来災害が発生するかどうか不明な状態で、その被害発生を予測して予防的に支出する金額は、雑損控除の対象とはなりません。
Q.振り込め詐欺にあい、100万円の被害を受けた場合、この損失は雑損控除となるか?
A.雑損控除は、「災害又は盗難若しくは横領」により生じた損失を対象としますが、「詐欺」による損失は対象となりません。
Q.家に泥棒が侵入し、大切にしていた結婚指輪(時価100万円)が盗まれました。雑損控除となるか?
A.盗まれた宝石は、1個30万円を超えるので、『生活に通常必要でない資産』とされ、雑損控除の対象とはなりません。
Q.地震で友人から借りていたパソコン(20万円相当)が壊れてしまいました。友人には現金で弁償しましたが、この弁償金は雑損控除の対象となるでしょうか?
A.雑損控除は、災害等を起因として自己又は自己と生計を一にする一定の親族の有する住宅家財等に損害のあった場合のほか、災害により保管していた第三者の物品に損害が生じたような場合に支出した損害賠償金等も、災害関連支出として雑損控除の対象となります。
※また雑損控除とは別に、その年の所得金額の合計額が1,000万円以下の人が災害にあった場合、災害減免法による所得税の軽減免除があり、納税者の選択によりどちらか有利な方法を選べます。
上記の例の他にも様々な雑損控除になりうる事例が有りますので、何か心当たりがありましたら、当税理士法人に一度相談してみてはいかがでしょうか?
参考文献 国税庁ホームページ