
外貨建取引の円換算方法
この度の東日本大震災にて被災された皆様に心よりお見舞いを申しあげます。1日も早い復興を心よりお祈り申しあげます。
外貨建取引の円換算についてご紹介いたします。
1.円換算の原則
外貨建取引の円換算方法は、その取引日における電信売買相場の仲値(TTM)で換算します。
ただし、継続適用を条件として、売上・その他収益・資産については取引日の電信買相場で円換算し、
仕入・その他費用・負債については、取引日の電信売相場によることができます。
2.円換算の特例
上記の円換算に当たっては、継続適用を条件として、当該外貨建取引の内容に応じて、
それぞれ合理的と認められる次のような円換算額を使用することができます。
A.取引日の属する月・取引日の属する週の前月・取引日の属する前週の末日の、
電信買相場若しくは電信売相場又はこれらの日における電信売買相場の仲値。
B.取引日の属する月の前月又は前週の平均相場のように1月以内の一定期間に
おける電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場の平均値。
3.取引日に為替相場が無い場合
取引日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場によります。
4.円で外貨を購入した場合
円で外貨を購入し、直ちに資産を取得等する場合や、外貨借入による当該外貨を直ちに売却して、
円を受取る場合の当該借入金については、現にその支出し、又は受け入れた本邦通貨の額を
その円換算額とすることができます。
5.先物外国為替契約等がある場合の収益、費用の換算等
外貨建取引に係る売上その他収益又は仕入その他費用につき円換算を行う場合において、
当該収益又は費用の額に係る本邦通貨の額を、先物外国為替契約等により確定させているときは、
その収益又は費用の額については、その確定させている本邦通貨の額をもって、
その円換算額とすることができます。
また、外貨建資産・負債の換算についても、本邦通貨の額を先物外国為替契約等により、
確定させているときは、その資産・負債の額については、その確定させている本邦通貨の額をもって、
その円換算額となります。
この場合、その収益又は費用の額等が先物外国為替契約等により確定しているかどうかは、
原則、個々の取引ごとに判定します。
また、外貨建取引の決済約定の状況等に応じ、包括的に先物外国為替契約等を締結して、
その予約額の全部又は一部を個々の取引に比例配分するなど、合理的に振り当てている場合においても、
この規定を適用することができます。
6.先物外国為替契約等がある場合の為替予約差額の配分
事業年度終了時において、先物外国為替契約等で円換算したものを有する場合には、
その為替予約差額を各事業年度に配分しなければなりません。
但し、その外貨建資産等が短期外貨建資産等に該当する場合には、為替予約差額を一括計上できます。
7.前渡金等の振替
取引に関して受け入れた前受金又は支払った前渡金があるときは、
当該前受金又は前渡金に係る部分については、当該前受金又は前渡金の帳簿価額をもって、
収益又は費用の額とし、改めてその収益又は費用の計上日における為替相場による円換算を
行わないことができます。
8.期末時の外貨建資産・負債の円換算方法
(1)法定換算方法
A.外国通貨・・・・・・・・期末時換算法(この方法のみ)
B.短期外貨預金・・・・・・期末時換算法
C.長期外貨預金・・・・・・発生時時換算法
D.短期外貨建債権債務・・・期末時換算法
E.長期外貨建債権債務・・・発生時時換算法
F.売買目的有価証券・・・・期末時換算法(この方法のみ)
G.売買目的外有価証券
a.償還期限・償還金額の定めあり・・・発生時時換算法
b.上記以外・・・・・・・・・・・・・発生時時換算法(この方法のみ)
(2)発生時換算法
発生時換算法とは、法人が外貨建取引時に円換算をした金額をもって、
期末の円換算額とする方法をいいます。
(3)期末時換算法
期末時換算法とは、期末時における外国為替の売買相場より円換算をした金額をもって、
期末の円換算額とする方法をいいます。
なお、法人が期末時換算法により円換算を行う場合の為替相場は、事業年度終了日の
電信売買相場の仲値(TTM)によります。
ただし、継続適用を条件として、外国通貨の種類の異なるごとに当該外国通貨に係る外貨建資産等の
すべてについて、外貨建資産については電信買相場により、外貨建負債については、
電信売相場によることができます。
(注)
A.当該事業年度終了の日の電信売買相場の仲値、電信買相場又は電信売相場は、
継続適用を条件として、当該事業年度終了の日を含む1月以内の一定期間における
それぞれの平均値によることができます。
B.当該事業年度終了の日の電信買相場又は電信売相場が異常に高騰し、又は下落しているため、
これらの相場又はその仲値によることが適当でないと認められる場合も、
上記の平均値を使用することができます。
(4)先物外国為替契約等がある外貨建資産・負債の換算
外貨建資産・負債の円換算額が先物外国為替契約等により確定しているときは、
当該先物外国為替契約等により確定している円換算額をもって資産又は負債の円換算額とします。
(5)為替相場の著しい変動があった場合の外貨建資産等の換算
事業年度末に有する外貨建資産等につき、次の算式により計算した割合がおおむね
15%以上となる場合は、当該外貨建資産等については、当該事業年度末に、
再度円換算を行うことができます。
(算式)
{(外貨建資産等の期末時円換算額(A)―同左資産の期末時帳簿価額)÷A}
参考資料:(財)大蔵財務協会「法人税決算と申告の実務」