
変動所得と臨時所得 その2
前回に引き続き、変動所得と臨時所得についてご紹介します。
今回は、平均課税が適用できる場合の計算式と、計算例になります。
<平均課税が適用できる場合の計算式>
●平均課税対象金額の計算
その年分の変動所得の金額 -(前々年分の変動所得の金額+前年分の変動所得の金額)× 1/2
●調整所得金額の計算(1,000円未満の端数切捨て)
課税総所得金額>平均課税対象金額のとき
その年分の課税総所得金額 - 平均課税対象金額 × 4/5
課税総所得金額≦平均課税対象金額のとき
その年分の課税総所得金額 × 1/5
●特別所得金額の計算
その年分の課税総所得金額 - 調整所得金額
●調整所得金額に対する税額の計算
調整所得金額 × 速算表による税率
●平均税率の計算
調整所得金額に対する税額 ÷ 調整所得金額
●その年分の課税総所得に対する税額の計算
調整所得金額に対する税額 + 特別所得金額に対する税額
<計算例>
本年分の総所得金額 6,680,000円(内変動所得(原稿料)800,000円、臨時所得(賃料)1,000,000円)
所得控除の合計額 1,680,000円
課税総所得金額 5,000,000円
前々年分の変動所得 400,000円
前年分の変動所得 500,000円
●平均課税が適用できるか?
本年分の変動所得額800,000円は、前々年の変動所得額400,000円+前年の変動所得額500,000円の1/2=450,000円を超えています。
本年分の変動所得800,000円+本年分の臨時所得1,000,000円は、総所得金額の20% 1,336,000円以上のため、平均課税は適用できます。
●平均課税対象金額
{800,000円 - (400,000円 + 500,000円) × 1/2} + 1,000,000円 = 1,350,000円
●調整所得金額の計算
課税所得金額5,000,000円>平均課税対象金額1,350,000円
5,000,000円 - 1,350,000円 × 4/5 = 3,920,000円
●調整所得金額に対する税額の計算
3,920,000円 × 20% - 427,500円 = 356,500円
●平均税率
356,500円 ÷ 3,920,000 = 0.09
●特別所得金額に対する税額の計算
(5,000,000円 - 3,920,000円) × 0.09 = 97,200円
●平均課税の方法によって計算した税額
356,500円 + 97,200円 = 453,700円
※平均課税を選択しない場合の課税総所得金額に対する税額は572,500円
事業所得や雑所得のうちに変動所得とそれ以外の所得とがある場合には、それらの事業所得や雑所得の必要経費は、変動所得の収入金額に対応する部分とそれ以外の部分とに区分して計算します。平均課税方式を選択する場合には、総合的に判断されることをお勧めします。
ご不明な点ございましたら、コンパッソ税理士法人までお気軽にご相談下さい。
出典:大蔵財務協会「図解 所得税」