地方VS地方の仁義なき戦い~寄付金争奪戦~

みなさんはふるさと納税をされたことがありますか? いまは都会で生活しているけれど、生まれ育った故郷や両親のいる自治体には、恩返ししたい。そう思っている人はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
今日はそんな皆さんに、全国の市区町村で過熱するふるさと納税に対する返礼品のお話を紹介したいと思います。

ふるさと納税とは、出身地に限らず自分が応援したい都道府県・市区町村などの自治体に寄付を行うと、寄付額のうち2,000円を超える部分(年間上限額あり)について、国や居住地の自治体に納める所得税や個人住民税が控除される制度です。

多くの自治体では、寄付のお礼として返戻品を用意しています。ふるさと納税を扱う専門サイト「ふるさとチョイス」の集計結果によると、昨年もっとも多くの寄付金を集めたのは、長崎県平戸市の12億7,884万円。
次いで佐賀県玄海町の9億3,206万円、北海道上士幌町9億1,098万円でした。

1位の平戸市では、1万円以上寄付をした人を対象に、寄付金額に応じてポイントを配布し、そのポイントと商品を交換する制度を実施しています。寄付者は、返礼品が記載されているカタログから欲しい商品を選ぶ仕組みです。
2位の玄海町では、生塩ウニや黒毛和牛といった特産品が好調で、13年度、14年度と2年連続で寄付金額が住民税の税収額を上回りました。

自治体がお礼として用意しているのは、多くの場合でこうした地元の特産品などですが、自治体の中には単に納税者を引きつけるためとしか思えないような、突飛な返礼品も飛び出し問題となっています。
昨年9月、京都府宮津市は1,000万以上の寄付をした人に、750万円相当の土地をプレゼントすると発表しました。土地の譲渡は、税控除が受けられない「寄付者への特別な利益」にあたる可能性があると、総務省が待ったをかけたことで中止がきまったものの、ふるさと納税制度を利用した寄付金集めが、過熱を始めた例として話題となりました。

また、石川県加賀市では、寄付金額の半額を電子マネーとして還元するプランを発表し、2週間あまりで5,000万円を集めました。しかし、開始から1ヶ月後の今年1月、寄付額に対して還元率の高い商品や、換金性の高いプリペイドカードなどを返礼品とすることを自粛するよう、総務省が全国の自治体に要請したことを受け、急きょ中止が決まりました。

地方活性化を目的とした本旨の制度が、その実態は豪華な品を得るための手段となっている状況から、4月1日には、高市早苗総務大臣が、高額な返礼品の自粛を求める異例の通知を出すに至っています。

自粛通知も出始めているふるさと納税ですが、一方で控除拡充策もあり、今年4月から、個人住民税の控除上限額が、これまでの約1割から約2割(個人住民税所得割額の20%まで)に拡充されました。暦年課税であることから、今年1月からの分も適用されます。さらに控除を受けるためには確定申告が必要でしたが、寄付する自治体数が、年間合計5自治体までなら申告不要となり、ふるさと納税の使い勝手は向上しています。

過疎化や高齢化が進む自治体にとって、ふるさと納税の返礼品が地域活性化や自治体の知名度向上につながっています。制度が拡充されたことにより、寄付者はさらに増加することが予想されます。しかしその結果、ふるさと納税による「勝ち組」の自治体と「負け組」の自治体での格差が拡大するのであれば、それはふるさと納税制度の本旨である「寄付で地方活性化を応援する」という目的からは、ますます遠ざかる結果となるでしょう。地方VS地方の仁義なき戦いはまだまだ続きそうです。

出典:納税通信2015年4月20日号

千葉流山事務所 北村昌樹

 

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