
国税庁より接待飲食費に関するFAQが発表されました
平成26年度税制改正で、交際費等のうち飲食に係る費用の50%相当額を損金算入できる規定が新設されました。この規定は平成26年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。今回はこの改正についてご紹介したいと思います。
<改正の概要>
大法人は従来、交際費等は損金不算入とされていましたが、今回の改正で2年間に限り、飲食のために支出する費用の50%を損金に算入(上限額はありません)できるようになりました。
中小法人については、現行の800万円までの支出額(得意先への慶弔費等の飲食費以外も含む)については100%損金算入できる現行の措置の適用期限を2年間延長し、さらに、飲食のために支出する費用の50%を損金に算入(上限額はありません)できる措置と、選択適用できるようになりました。
ただし、大法人・中小法人問わず、その支出が主に自社の役員、従業員等に対する接待等の費用、いわゆる「社内接待費」は飲食に係る費用には含まれません。
今回の改正を機に、国税庁は「接待交際費に関するFAQ(全9問)」を4月30日にホームページで発表しています。このFAQは、これまでに国税庁に寄せられた主な質問に対する回答をとりまとめたものですので、具体例が記載され、とてもわかりやすい内容となっております。
今回はそのなかでも、この改正において、飲食費に該当しない「社内飲食費」とはどういうものか、ご紹介いたします。
そもそも、社内飲食費の支出の対象者について、法令では「専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する」と規定されています。ですから、この規定に該当しない者に対する接待等のために支出する飲食費等であれば、社内飲食費に該当しないこととなります。
以下に社内飲食費に該当しない具体例を挙げます。
1.あくまで「当該法人の」と規定されているため、接待を受ける側が、資本関係が100%の親会社役員等であっても、連結納税の適用を受けているグループ内の他社の役員等であっても、社外の者となるため、接待に支出する飲食費は「社内飲食費」に該当しません。
2.同業者同士の懇親会や、得意先等と共同で開催する懇親会に出席した場合に支出する自己負担分の飲食費相当額についても、「社内飲食費」には該当しません。
3.自社の役員が親会社へ出向している場合、一般に出向者とは、出向先と出向元と双方において雇用関係が生じています。接待の場に出席した際の、その方の立場と接待先によって以下のように判断されます。
(1)その方が、親会社の役員でもあり、出向先である親会社の役員等を接待する会合に、親会社の役員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、自社からみると、社内飲食費には該当しないこととなります。
(2)その方が、自社の懇親会の席に、あくまで自社の役員等の立場で出席している様な場合に支払う飲食代は、社内飲食費に該当することとなります。
今回は社内飲食費に絞ってご紹介させていただきました。社内飲食費については損金算入できる飲食費等には含まれませんが、自社内の役員・従業員に対する支出のなかには、福利厚生費、会議費等に該当する費用があると思います。もちろん、福利厚生費や会議費等に該当する費用は損金算入されますので、ご安心ください。
なお、弊社のブログ「交際費等(飲食費)の取り扱いについて(平成26年5月28日)」で「交際費課税の見直しの概要」をまとめておりますので、こちらもご参照ください。
ご不明な点やご相談事項がございましたらコンパッソ税理士法人までお気軽にお問い合わせください。
出典:税務通信(No.3310)
国税庁HP「接待交際費に関するFAQ」