
国税不服申立制度、半世紀ぶりに改正
国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、処分庁に対する「異議申し立て」及び国税不服審査所長に対する「審査請求」という行政上の救済制度と、審査請求後、裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度があります。
このうち、「異議申し立て」は、税務署長などが更正・決定や差し押えなどの処分をした場合に、その処分に不服がある納税者が、税務署長などに対してその処分の取消しや変更を求める手続であり、国税に関する処分についての納税者の救済制度の第一段階となります。
「異議申し立て」の件数は、平成24年度は3,424件と過去10年間で最少であり、前年度と比べ10%減となっています。また、異議申し立てに占める割合でもっとも多いのが消費税で、次いで申告所得税となっています。
このたび、手続きの効率化を目的に、国税不服申立制度が半世紀ぶりに改正されることになり、今回は改正の概要をご説明いたします。
<審査請求の簡素化>
現行では、処分に不服がある場合は、処分した処分庁に「異議申し立て」をし、その決定に不服ならば国税不服審判所に「審査請求」を行わなければならなかったのですが、改正後は、直接「審査請求」ができるようになり、「異議申し立て」(仮称「再調査の請求」との選択が可能となります。
<不服申立期間の延長>
現行の不服申立期間は、処分があったことを知った日の翌日から2ヶ月以内とされていますが、3ヶ月以内に延長されます。
<証拠資料の閲覧>
現行では、審査請求人及び参加人の処分庁への提出物件の閲覧のみでしたが、改正後は、担当審判官の職権収集資料も対象に加えられ、閲覧のほか謄写を求めることができるようになりました。
<審査請求人の質問>
改正では、審査請求人の処分庁に対する質問が認められることになりました。
<国税通則法第99条の改正>
現行では、国税不服審判所長は、国税庁長官の法令解釈と異なる解釈等による採決をするときは、あらかじめ国税庁長官の意見を聞かなければならないこととなっていましたが、改正後は、国税庁長官の国税不服審判所長に対する指示が廃止され、国税庁長官が国税不服審判所長の意見を相当と認める一定の場合を除き、国税不服審判長は国税審議会の議決に基づいて採決しなければならないこととなりました。
このように、今回の改正は、納税者にとって有利な見直しが多くなっています。なお、上記の改正の施行日は、国税通則法第99条が平成26年4月1日施行、それ以外については、公布の日(平成26年6月13日)から起算して2年以内に施行となります。
ご不明な点、ご相談等がございましたら、コンパッソ税理士法人までお問い合わせください。
出典:国税庁HP
総務省HP
国税不服審判所HP