
国外財産Q&Aその6 ~国外財産の評価方法~
国外財産にまつわる内容について、シリーズでQ&A形式でご紹介いたします。
6回目の今回は「国外財産の評価方法」です。
Q:国外財産の価額については、合計5,000万円を超えると、国外財産調書を提出する必要がありますが、土地や建物などはどのように評価するのですか。また、外貨でもっている場合「邦貨換算」はどのように行うのですか。
A:国外財産の価額については、その年の12月31日における時価または見積価額により評価します。
また、「邦貨換算」については、その年の12月31日に一番近い日における「外国為替の売買相場」により行います。
【解説】
国外財産の価額については、その年の12月31日における「時価」又は時価に準ずるものとして「見積価額」により評価することになります。
「時価」とは、その年の12月31日における財産の現況に応じて、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立と認められる価額を言います。その価額は、専門家による鑑定評価額、金融商品取引所等の公表する同日の最終価格(同日の最終価格がない場合には同日前の最終価格のうち同日に最も近い日の価額)などをいいます。
また「見積価額」とは、その年の12月31日における財産の現況に応じ、その財産の取得価額や売買実例価額などを基に、合理的な方法により算定した価額とされています。具体的には次に掲げる方法により算定することが出来ます。
1.土地
(1)その財産に対して、外国又は外国の地方公共団体の定める法令により固定資産税に相当する租税が課される場合には、
その年の12月31日が属する年中に課された当該租税の計算の基となる課税標準額。
(2)その財産の取得価額を基に、その取得後における価額の変動を合理的な方法によって見積もって算出した価額。
(3)その年の翌年1月1日から国外財産調書の提出期限までに、その財産を譲渡した場合における譲渡価額。
2.建物
(1)土地の評価方法に掲げる価額
(2)その財産が業務の用に供する資産以外のものである場合には、その財産の取得価額から、その年の12月31日に
おける経過年数に応じる償却費の額を控除した金額。
※「経過年数に応ずる償却費」の額は、その財産の取得又は建築の時から、その年の12月31日までの期間の
償却費の額の合計額となります。
※償却方法は定額法によるものとし、耐用年数は減価償却資産の耐用年数等に関する省令に規定する耐用年数に
よります。
3.山林
1.土地の(1)、(2)又は(3)に掲げる価額
4.預貯金
その年の12月31日における預入高
5.有価証券
金融証券取引所等に上場されている有価証券以外の有価証券については、その年の12月31日における売買実例価額の
うち、適正と認められる売買実例価額。上記のない場合は1.土地の(3)に掲げる価額によります。それでもない場合は取得
価額によります。
6.貸付金
その年の12月31日における貸付金の元本の額
7.未収入金(受取手形を含む)
その年の12月31日における未収入金の元本の額
8.書画骨とう及び美術工芸品、貴金属類
(1)その年の12月31日における売買実例価額(その年の12月31日における売買実例価額がない場合には、その年の
12月31日前の同日に最も近い日における、その年中の売買実例価額)のうち適正と認められる売買実例価額。
(2)(1)がない場合は、1.土地の(3)に掲げる価額。
(3)(1)及び(2)がない場合には取得価額。
9.現金、書画骨とう及び美術工芸品、貴金属類に掲げる財産以外の動産
その財産が所得税法施行令6条3号から7号まで≪減価償却資産の範囲≫に掲げる財産で業務の用に供する資産以外の
資産である場合には、2.建物の(1)の取扱いに準じて計算した価額。
(邦貨換算)
国外財産の価額についての「邦貨換算」は、その年の12月31日に一番近い日における「外国為替の売買相場」により行います。具体的には、国外通5-11に明示されており、その外貨に係る対顧客直物電信相場(TTBレート)又はこれに準ずる相場を言います。
国外財産のことでご不明なことについては、コンパッソ税理士法人までお気軽にお問い合わせ下さい。