国外財産Q&Aその3 ~国外送金等の調書と財産債務明細書~

国外財産にまつわる内容について、シリーズでQ&A形式でご紹介いたします。
3回目の今回は「国外送金等の調書と財産債務明細書」です。

Q:国外送金等の調書というものがあるそうですが、どのような内容か教えてください。また、財産債務明細書について説明して、国外財産
  調書との関係について教えてください。国外財産がある場合、両方に記載しなければいけないのでしょうか。

A:(国外送金等調書)
  国外送金等調書は、日本の金融機関を通じて1回あたりの国外への送金または国外からの送金が100万円を超える場合に、金融機関に告知
  書を提出し、金融機関から税務当局に報告する制度です。
  (財産債務明細書)
  財産債務明細書は、その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超える場合に、確定申告書の提出に合わせて所轄
  税務署長に提出するものです。国外財産調書に記載した国外財産は、財産債務明細書への内容の記載は不要となっています。

【解説】
(国外送金等調書)
平成10年の外国為替管理法の改正により、国境を越えた資金のやりとりが自由化されましたが、多額の国外への送金または国外からの送金について、これらの中には課税漏れの資金が含まれている可能性があることから、「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」が施行されました。
これを国外送金等調書制度といいます。
この法律は、納税者の外国為替その他の対外取引及び国外にある資産の税務当局による把握に資するために国外送金等に係る調書の提出等に関する制度を整備し、所得税・法人税・相続税、その他国税の適正な課税の確保を図ることを目的としています。

平成9年に国外送金等調書制度が創設されたときは、1回あたりの送金または受給額200万円超の分は、金融機関から調書が提出されることになっていましたが、その後、平成21年4月以降の送金等から、その額が100万円超に引き下げられました。その後、提出枚数は年々増加しています。

金融機関は、その顧客がその金融機関の営業所等を通じてする国外送金(100万円以下相当額を除く)に係る為替取引を行ったときは、その国外送金等ごとに国外送金等調書を取引を行った日の属する月の翌月末日までに、その取引に係る金融機関の営業所等の所在地を管轄する税務署長に提出することになっています。

(財産債務明細書)
財産債務明細書制度については、その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円を超える者が、その年末(または出国時等)において有する財産の種類、数量および価額ならびに債務の金額等について必要な事項を記載した明細書を確定申告書の提出に合わせて所轄税務署長に提出するものです。そのため、所得金額が2,000万円以下の者には提出義務はありません。

それに対して、国外財産調書制度はその者の所得金額に係らず、合計で5,000万円を超える国外財産を有する非永住者以外の居住者は、すべて当該調書を提出しなければなりません。したがって、所得金額2,000万円超の者が5,000万円を超える国外財産を有するケースでは、二重に報告義務を課されることになりますので、「国外財産調書」を提出した場合には、その調書に記載した国外財産については「財産債務明細書」への内容の記載は要しないとする調整措置が講じられています。

また、国外財産の合計が5,000万円以下であり、かつ、所得金額が2,000万円超の場合には、国外財産調書の提出義務はありませんが、財産債務明細書の提出義務があり、国外財産については財産債務明細書に記載することになります。
国外財産調書制度の特徴としての罰則規定は財産債務明細書にはありません。
結果として、いわゆる富裕層といわれる個人は、財産債務明細書と国外財産調書の双方の提出義務を負うことになります。

国外財産のことでご不明なことについては、コンパッソ税理士法人までお気軽にお問い合わせ下さい。

税理士 吉見和典

 

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