
医療費控除の範囲~文書料について~
東京国税局は、病院のいわゆる「紹介状」の作成に係る文書料に関する事前照会について、本件文書料は医療費控除の対象になると回答しました。一方、病名等が記載されたいわゆる「診断書」に係る文書料医療費控除の対象外であることも明らかにしております。
文書料という名目のみで診断書と同様に紹介状の費用も対象外と考える向きがありましたが、同じ文書料でも、紹介状に係る費用は医療費控除の対象となることが明らかになりました。今回は、医療費控除における文書料の取り扱いについて、照会要旨の内容を中心に紹介させていただきます。
<照会要旨>
照会者は、右手の切創の診療に際し、当初診療を行ったA病院から紹介状を受け取り、紹介先のB整形外科医院に紹介状を交付して引き続き治療を受けた。紹介状の作成料として、健康保険が適用される文書料を支払っており、当該文書料が医療費控除の対象になるかを照会した。
<「診断書」は診療等の対価に該当しない>
医療費控除の対象となる医療費は、医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとされており(所法73(2))、その対価は、病状に応じて一般的に支出される水準を著しく越えない部分の金額(所令207)とされております。この点、いわゆる診断書などの作成に係る文書料は、診療等の内容等を記載した文書の発行に係る手数料であり、通常、生命保険会社等への給付金等の請求時に使用されるため、医師等の診療又は治療の対価に該当せず、医療費控除の対象になりません。
<「紹介状」は診療等の対価に該当する>
本件紹介状に係る文書料は、A病院が、照会者に運動障害が出る可能性もあるとし、その後の診療をB整形外科医院で適切に受けられるよう作成しており、当該医院での診療に当たり当該医院で診療を受けるために直接必要な費用と考えられるため、医療費控除の対象になります。
また、本件文書料は、診療に基づき、別の保険医療機関での診療の必要を認めた上で算定される診療情報提供料に該当するものであり、医師等の診療等の対価として、通常必要なものであり、その病状に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額と考えられ、医療費控除の対象になると判断されましたので、確定申告の際には注意が必要となります。
医療費控除、その他確定申告に関してご相談事項がありましたら、お気軽にコンパッソ税理士法人までお問い合わせ下さい。
出典:税務通信No.3341