冷たいビールのホットな話題

本年6月、サッポロビールは、第三のビールとして販売が好調な「極ZERO」について、酒税法上の税率適用区分が「リキュール(発泡性)1」に該当しない可能性があることを受け、自主的な修正申告を行うことに伴う酒税の差額分116億円の特別損失が発生する見込みであると発表しました。

*酒税率
  リキュール(発泡性)1   :  80,000円/KL
  発泡性酒類基本税率   : 220,000円/KL

「極ZERO」は販売を終了し、新「極ZERO」(発泡酒)として7月に再発売されています。


(「国税庁 平成26年 酒のしおり」より抜粋)

酒類に税金が課される根拠としては、江戸時代以降長きにわたり国税収入の主流であったこと、贅沢な嗜好品として課税(旧物品税)されていたこと等の歴史的背景や、飲酒にかかわる社会的問題(依存症、飲酒運転等)を抑制する効果があるなどと解されています。一方では、たばこ税と同様に、酒税にも消費税がかかるいわゆる二重課税ではないかとの指摘も根強く残っています。

ビール市場の最新のカテゴリー別のシェアは、ビールが50,0%、発泡酒が13,5%、第三のビールが36,5%となっています(平成25年度 キリンビール データ集より)が、このシェアは、度重なる酒税の改正により大きく変動することになりました。
国内のビール業界は、長年にわたり、キリンビールが圧倒的なシェアを誇っていましたが、昭和62年に発売された「アサヒスーパードライ」は大ヒット商品となり、戦国時代に突入しました。
バブル崩壊後の「失われた20年」の最中である平成8年に発売された低価格の「サントリー スーパーホップス」は発泡酒市場の拡大に火をつけ、各社こぞって新商品を発売し、発泡酒の最盛期のビール市場におけるシェアは一時35%を超えるまでになりました。
しかし、平成15年には、発泡酒については増税が行われ、(1KLあたり105,000円から134,250円)、となり、市場拡大に水を差すことになりましたが、平成16年には、原料に麦も麦芽も含まない低い税率の第三のビール「サッポロ ドラフトワン」が発売され、新ジャンルのビールとして一気にシェアを伸ばしました。
ところが、平成18年には更なる増税が行われ、第三のビールの税率は1KLあたり69,155円から80,000円となり、現在に至っています。

10月24日、政府与党がビール系飲料の酒税格差を縮小する検討に入ったとの報道発表がありました。発泡酒や第三のビールの税額を引き上げ、ビールの税額を引き下げる内容です。本物志向のビール党にとっては朗報ですが、消費増税の最中に値段の安さを求める愛飲家からは悲鳴が上がりそうです。

出典:ビール酒造組合「日本のビール・発泡酒・新ジャンルと税 2012年」
    ビールメーカー各社HP

渋谷事務所 樫村邦彦

 

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