公益法人等に財産を譲渡した場合の非課税特例

 日本全国の空き家問題はニュースや新聞等でご周知のことかと思います。相続によって引き継いだ土地建物が空き家になるケースが多く、税制においても譲渡所得から3000万円控除されるといった不動産の活性化のために優遇措置が適用されます。しかしながら、当該特例は、大前提として購入者が必要です。実務においては、無償でもいいから引き取ってほしいという方もいらっしゃいます。固定資産税の支払から解放されるだけで十分ということです。そこで今回は不動産などの財産を寄付した場合の税制の取り扱いについて確認してみましょう。

⒈ 個人から個人
 個人から個人に財産を寄付した場合は、譲渡者は所得税の課税関係生じませんが、譲受者は贈与税の課税関係が生じてしまいます。財産評価額が基礎控除額を超えた場合には、贈与税を負担しなければなりません。
⒉ 個人から法人
 個人から法人に財産を寄付した場合は、時価で譲渡したものとみなし、所得税の課税関係が生じます。時価が取得費を超えた場合には、所得税を負担しなければなりません。
⒊ 個人から公益法人等
 
⑴ 概要
 個人から公益法人等に財産を寄付した場合において、下記の要件を満たし、かつ、国税庁長官の承認を受けたときは、所得税が非課税となる制度が設けられています。
① 寄付が、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与すること。
② 寄付財産(代替資産を含みます。)が、その寄付日から2年を経過する日までの期間内に寄付を受けた公益法人等の公益目的事業の用に直接供され、又は供される見込みであること。
③ 寄付により、寄付した人の所得税の負担を不当に減少させ、又は寄付した人の親族その他これらの人と特別の関係がある人の相続税や贈与税の負担を不当に減少させる結果とならないと認められること。
 
⑵ 承認申請書と平成29年度改正
国税庁長官の承認を受けるためには、原則として寄付した人が、承認申請書を寄付日から4か月以内に税務署に提出しなければなりません。平成29年度改正においては、公益法人の公益目的事業を行うための不可欠特定財産とする等、一定の要件を満たした場合には、最長1か月(株式等で一定の法人は3か月)で承認又は不承認の判別ができるようになりました。この改正前は承認の可否に2年以上かかることもありました。
 
⑶ 買換特例と平成30年度改正
 公益法人等の取り扱いは、寄付財産を継続して公益目的事業に利用しなければならず、寄付財産を譲渡した場合には、非課税承認が取り消されてしまいます。しかし、2年以上公益目的事業の用に直接供した寄付財産を譲渡した後、譲渡収入の全額をもって同種の資産等を購入(買換)した場合には、非課税承認が継続される特例を適用できます。
 平成30年度改正においては、下記の要件を満たすことにより、寄付財産の最低利用期間2年が撤廃され、なおかつ、異種資産の買い替えでも非課税承認が継続されることとなりました。
① 非課税承認に係る公益法人等は、国立大学法人等、公益社団法人、公益財団法人、学校法人、社会福祉法人であること。
② 次の法人の区分に応じて、それぞれに掲げる方法により管理している寄付財産を譲渡したこと
・国立大学法人等、公益社団法人、公益財団法人
 一定の公益目的事業に充てるための基金に組み入れる方法(所轄庁の証明が必要)
・学校法人、社会福祉法人
 寄付を受けた法人の財政基盤又は経営基盤の強化を図るために、一定の金額を基本金に組み入れる方法
③ 上記②の譲渡による収入金額の全部に相当する金額をもって買換資産を取得し、これを上記②の方法で管理すること
④ 非課税承認に係る公益法人等が、上記②の譲渡の日の前日までに、一定の事項を記載した届出書及び譲渡財産が上記②の方法で管理されたことを確認できる書類の写しを所轄税務署長に提出すること
 
 コンパッソ税理士法人では、不動産などの財産を公益法人等に寄付する場合の承認申請書の作成及び税務署への提出や公益法人や社会福祉法人へ月次関与によって運営指導や会計支援を承っております。ご不明な点、ご相談等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

参考文献:国税庁HPのリーフレット

渋谷事務所 綿引 昭光

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